土用の丑の日は鰻を食べる日。
でも、鰻は高級品で、ちょっと手が出ません。
そこで、調べてみたら“う”のつく食べ物を食べれば、夏負けしないという風習が元のようです。
“う”のつく食べ物というと、「うどん」・「うり」・「うめ」…「うし」!
そこで、今年は「牛肉(うしにく)」に変更してみました。
[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/02/娘普通.png” name=”娘” type=”l”]牛肉おいしかったね~。また食べたいねぇ。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-9.png” name=”かな” type=”r”]そんなに何回も無理だなぁ。お財布の事情として…。[/voice] [voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/02/娘普通.png” name=”娘” type=”l”]え~、土用の丑の日って、土曜日にうの付くものを食べる日なんじゃないの?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]いや、曜日のことじゃなくて、「土用の丑の日」っていう特別な日なんだよ。でもどうして、土用にうの付く食べ物だと、夏負けしないんだろうね?[/voice]まだまだ、謎の多い「土用の丑の日」。
土用の意味や由来を知ると、日本の暮らしがみえてきます。
夏だけでない、冬の土用のあれこれもご紹介します。
土用の意味・由来とは
土用は、元は古代中国の暦が日本に伝来した時に、二十四節気を補うために作られた「雑節」の1つです。
二十四節気と雑節
古代中国では、太陽の動きをもとにして、夏至・冬至・春分・秋分を見つけ出しました。
けれどもこの4つの太陽の位置は、いうなれば“季節の真ん中”で、季節の始まりではありません。
それぞれの中間点に立冬・立春・立夏・立秋を設けて、季節の始まりと終わりを定めたのです。
この8つの季節の区切りに、季節の変化を表す節目を合わせて作られたのが、「二十四節気」です。
ところが、中国から伝わった時、日本の季節とずれていることが不便になりました。
そこで、より季節に即した暦になるように設けられたのが、「雑節」です。
9つある雑節のうち、立冬・立春・立夏・立秋の直前の18日間を「土用」といい、一年に4回めぐってきます。
詳しくはこちらをどうぞ。
[box class=”red_box” title=”関連記事”]土用の丑の日いつ?何回?季節の風習何があるのか調べてみました[/box]
土用の意味
ここからは、ちょっと「陰陽五行」をもとに考えていきます。
[box class=”blue_box” title=”とてもざっくりした「陰陽五行」の説明”]この世界の全てのものは、「陰」と「陽」で成り立っていると、考えられています。陰と陽が、お互いに作用する中から、五行(木・火・金・水・土)が生まれました。
五行は、それぞれ自然の様子を表しています。
木…木が芽吹き大きく茂る様を表す。春・青色・東の方角の象徴
火…燃え盛る炎の様子を表す。夏・赤色・南の方角の象徴
金…光輝く金属を表している。秋・白色・西の方角の象徴
水…泉から流れ出る水を表している。冬・黒色・北の方角の象徴
土…種が芽吹き命をはぐくむことを表す。季節の変わり目・黄色・中心の象徴
これら「陰」と「陽」と五行が、どのように影響し合うかを読み解くのが、陰陽道です。
有名な人物では、「安倍晴明」がいますね。[/box]
参考サイト:Wikipedia「五行思想」
では、土用とは、本来どんな意味を持っているのでしょうか。
「土用」は正式には「土旺用事(どおうようじ)」という言葉の略語です。
「土旺用事」の“旺”は「物事がさかんになっている」という意味。
つまり、五行でいう「土」の気が活発になっていること、その時期を表しています。
この「土」は季節の運行に欠かせない役割を持っています。
五行を四季に当てはめていったら、「土」が余っちゃた、という訳ではありません。
「土」がないと、季節が廻っていかないので、それぞれの間に位置しているのです。
[box class=”blue_box” title=”ちょっと、計算してみましょう”]一年を360日として、4つの季節で割ると、360÷4=90この90日を五行の5で割ると、90÷5=18
この18日間が、1つの土用の期間です。
4つの季節分を足すと、18×4=72
残りの4つの季節も土用の分を引くと、90-18=72
これで、すべて同じ日数になりました。
(ちなみに、現在は太陽と地球の公転の角度で暦を割り出しています。
地球は楕円形の形をして太陽の周りをまわっているので、17~19日間の差が出てきます。)[/box]
「土」は五行の中で、“中心”を意味し、大地の農作物を育てる力を司っています。
同時に、腐敗や分解で“土に還す”という働きも持っています。
春夏秋冬の4つの季節の間に「土用」があるのは、季節をきちんと廻らせるため。
春・夏・秋・冬を生み出して、古い季節を還すという役目なのです。
「土用」は季節を確実に巡らせるための「五番目の季節」と言えます。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]季節の変わり目って、土用のことだったんだね。[/voice]季節の変わり目は、体調を崩しやすいものです。
滋養して次の季節に備えようということですね。
もし、土用の間に無理をすると…。
体調を崩すだけではなく、こんな怖いこともあるかもしれません。
土用殺(どようさつ)とは
“殺”という、怖い字が入っていますね。
もちろん、殺されるという訳ではなく、“動きを停める”という意味合いです。
「土」は、季節を廻すための重要な役割があり、「土用」はその真最中。
「陰陽道」では、土の中の土公神(どくじん)が、その役割をしており、邪魔をしてはいけないと言われています。
そのため、土用の期間中、畑仕事や庭いじりなど土に関することは避けること。
これを「土用殺」と言います。
また、引っ越しや結婚、地鎮祭なども控えるべきといわれています。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]18日間も待てないって思いましたよね。大丈夫です。[/voice]「間日」という、土公神さまが天上へ出かける日があり、その日なら動いてもよいとされています
季節ごとの土用の期間中、決められた干支の日があります。
春土用の間日 | 巳・午・酉 |
夏土用の間日 | 卯・辰・申 |
秋土用の間日 | 未・酉・亥 |
冬土用の間日 | 卯・巳・寅 |
ちょっと、こじつけっぽいですね。
でもこうした決まり事で、「土用の間は滋養せよ」と教えているのかもしれません。
参考サイト:Wikipedia「土用」・「土用の間日」
丑の日の由来
土用が大事な期間だということは分かりました。
でも、なぜ“丑の日”だったのでしょうか?
十二支もいるのに、特に「丑」になったのは、なぜ?
実は、諸説ありはっきりしたことは分かっていません。
けれども、先ほどの「陰陽五行」に照らし合わせて、こんな解釈ができます。
参考に一読してみてください。
陰陽五行でみる「丑」の日の由来
五行の元素、木・火・金・水・土はそれぞれ、お互いに影響し合っています。
そのパワーを強める相手と打ち負かす相手がいるのです。
ジャンケンのようなものですね。
あちこちに矢印が向いていて、ややこしいですね。
ここで大事なポイントは2つ。
①「火」を強めるのは「土」
②「火」を打ち負かすのは「水」
陰陽五行では、四季や1年12か月、365日を十二支で表しています。
図を見ると、夏土用は旧暦の6月「未」の月になります。
季節は夏なので、もちろん「火」で表されます。
「火」の季節の中の「土」。
強め合う性質のものが重なっています。
季節の変わり目で、心身ともに体調を崩しやすい時期なのに、その影響力が倍増です。
いつもより病気に罹りやすくなったり、体力が落ちたり、食欲がなくなったりします。
そこで、考えたのが「打ち負かす相手をぶつけよう!」ということ。
やりかたは簡単。
「火」に強い「水」の気にあやかればいいのです。
「水」の季節は冬で、10月・11月・12月になります。
この中で、同じく土用の期間があるのは、12月=「丑」の月。
「未」の月と相対する「丑」の月(12月)の力を借りることにしました。
「未」の月の中にあって、「水」の気が強い「丑」の日に滋養をつける。
この方法で、「火」=夏を乗り切ろうというわけです。
“う”のつく“黒い”食べ物の由来
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”r”]なるほど~。だから「丑」の“う”のつくものを食べるっていうことだったんだね。[/voice]
また、“う”のつく食べ物以外にも「黒い色」の食べ物でも良いと言われています。
“黒”は「水」の気を表す色です。
ですから、黒いものも「水」の気を持っていると考えられています。
鰻は“う”(丑)がついて、“黒い”色で、「水」の中の生き物。
夏土用の「火」の気を打ち負かすには、最高の食べ物ですね。
ちなみに、江戸時代では「うしの肉」=「牛肉」を食べる習慣はありませんでした。
牛は田畑の仕事を担ってくれる、大事な動物とされていたからです。
江戸時代に、土用の丑の日に鰻を食べることを考案したとされる平賀源内。
庶民の風習を上手に取り入れ、「なるほど!」と思わせたから、現代まで残っているのかもしれませんね。
参考文献:「陰陽五行と日本の民俗」吉野裕子著 人文書院 1983年
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鰻を食べる以外の行事
鰻や土用蜆、土用餅、土用卵…。
土用の丑の日に精のつくものを食べることは「食い養生」のひとつです。
それだけでなく、丑の日には夏を乗り切るための、様々な行事があるんですよ。
夏の土用
瓜(うり)封じ・きゅうり加持
夏の野菜で水分を多く含む「瓜(うり)」や「きゅうり」に災厄や疫病の元を封じ込めて祈祷するもの。
瓜に切れ込みを入れて、祈祷を書いた紙を挟み込む加持祈祷もあります。
福岡県筑紫野市 武蔵寺(ぶぞうじ)の「瓜封じ」
京都市右京区 蓮華寺(れんげじ)「きゅうり封じ」
ほうろく加持・虫封じ
「ほうろく」という素焼きの皿を頭にのせてお灸をすえると、頭痛や虫封じになる祈祷。
日蓮宗のお寺がおこなっています。
京都市右京区 三寶寺(さんぼうじ) → 公式HP
千葉県茂原市 藻原寺(もばらじ) → 公式HP
みたらし祭「足つけ神事」
京都府の下鴨神社で行われる祭りです。
境内の「御手洗社」の御池に入って、穢れを流すというもの。
疫病払いや安産にも効き目があるそうですよ。
丑の湯祭
全国各地の温泉地で行われています。
詳しい情報はこちら
[box class=”red_box” title=”関連記事”]土用の丑の日いつ?何回?季節の風習何があるのか調べてみました[/box]
寒中(冬)の土用
土用は夏だけではありません。
冬の土用にも行事があります。
寒中の土用丑の日
長野県岡谷市や静岡県がおこなっています。
「冬にも鰻を食べて寒さを乗り切ろう」というキャンペーン。
鰻の旬は、脂の乗った冬です。
夏のかば焼きとは、また一味違う美味しさが味わえます。
寒中丑紅(かんちゅううしべに)
江戸時代~明治にかけて、行われていた風習です。
紅=赤い色のものを唇に付けることで、口から入る疫病や虫を封じるとされました。
この時、一緒に丑の置物を配っていました。
着物の上に、この牛の置物を置いておくと、着るものに不自由しないそうです。
こちらも、「土用の鰻」と同じく、商売上手なキャッチコピーなのかも。
[box class=”blue_box” title=”土用波”]夏の土用になると、遠州灘や九十九里浜に大きな波が繰り返しやってきます。
天候は悪くないのに、波だけが高くなる現象を「土用波」と言います。
これは、沖縄近海に近づいた台風の風による、海上のうねりが、遠く伝わってくるもの。
天気がいいのに大波なんて、気を付けるのが難しいですよね。
サーファーへ注意を呼びかける海岸もあるそうです。[/box]
まとめ
土用の丑の日の意味や由来について、調べてみました。
あわせて、食べる以外の行事もご紹介しました。
- 「土用」は陰陽五行の「土」がそれぞれの季節を移り変わらせるための移行期間です。
- 「丑の日」の由来ははっきりしませんが、「火」に対抗する「水」の象徴として用いられたという説があります。
- 夏の土用の丑の日には、瓜封じやほうろく加持などの行事があります。
- 寒中の土用丑の日には、紅を買う「寒中丑紅」という風習がありました。
行事や風習のなかには、「ちょっとこじつけじゃない?」というものがあります。
でも、暮らしの中の知恵は、それなりに意味を持っています。
昔の暮らしを想像しながら、由来や意味を考えると、今の暮らしにも生かせることがありそうです。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性うれしい.png” name=”夫” type=”l”]よ~し、寒中の土用丑の日には、鰻重食べるぞ~![/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”r”]いいね!ボーナス期待してるよ![/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性怒り.png” name=”夫” type=”l”]…頑張ります。[/voice] [box class=”red_box” title=”関連記事まとめ”]土用の丑の日いつ?何回?季節の風習何があるのか調べてみました
半夏生の読み方って?意味とその由来は?実は地域によって風習も違う!
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