紅葉の雑学 ~漢字の由来や紅葉のメカニズムなど~

夏が終わって朝晩が冷え込む日が出てくると、秋の訪れを感じますよね。

秋が近づくと気になるのは紅葉のこと。今年の色づきはどうかしら?見頃はいつ頃かしら?そうそう、紅葉と言えば思い出すのが…

ん?…紅葉?

こうよう?

もみじ?

さて、あなたはどちらだと思って読んでいましたか?

「こうよう」と「もみじ」って、どうして同じ漢字を使うんでしょうね。文章だとどちらを指しているのか、文脈判断になってしまいますよね。

それに、「もみじ」と「かえで」って同じ植物ですか?えっ?違う??

ついでに言うと「こうよう」って「紅」の字を使いますけど、イチョウなどは黄色に色づきますよね。あれは「こうよう」ではないの??

一つ気になると疑問がずるずると芋づる式に…(秋だけに)

本格的な秋を迎える前に、「紅葉」にちょっと詳しくなりませんか♪

「こうよう」と「もみじ」の漢字のお話

お話の前に、とっても書きづらい(…と言うことはきっと読みづらい)ので、この先は「こうよう=紅葉」「もみじ=モミジ」と書かせていただきますね。

さて、紅葉とモミジについてですが、まずは現在それぞれがどのような意味で使われているのか確認しておきたいと思います。

  • 紅葉:秋に野山の木々の葉の色が紅や橙、黄色に色づくことや、色づいた状態
  • モミジ:赤ちゃんの手のような形に切れ込みの入った葉が、秋に鮮やかに色づく木

このように私たちは使い分けているかと思います。

どちらかがもう一方の元になったのだと思うので、語源を調べてみました。

  • 紅葉:葉が紅色に色づくことやその状態の葉を指す言葉で、元は中国から伝わった漢語
  • モミジ和語。紅花(ベニバナ)から紅や黄の染料を「揉みだす」様子から、「もみ」が「紅」を指すようになり、動詞「もみづ」が草木が紅色に色づく「紅葉(こうよう)」を意味するようになった。その「もみづ」を語源として、モミジの木そのものを表す名詞に変化したと考えられる

和語「もみづ」は、漢語「紅葉」が伝わる前から日本にあったようです。漢語の伝来によって、それまであった和語も漢字で表そうとした日本人が、自分たちが「もみづ」としている状態と「紅葉」が同じ状態だと考え、「もみづ」を「紅葉づ」と当て、それが名詞「モミジ=紅葉」と変化していったようです。

なんだかややこしい話になりましたね。

でも、別々にあった「紅葉」と「もみづ」を合わせたから同じ漢字で全然違う読みが存在している…と言うことがわかりました。

モミジとカエデは同じ木?違う木?

モミジとカエデ。私のイメージでは、日本っぽいのがモミジ、海外っぽいのがカエデ!

ええ、お察しの通り、カナダの国旗のイメージです。

これはさすがに稚拙なイメージかもしれませんが、聞かれてはっきりと説明できる人は少ないのではないでしょうか?

調べてみたところ、実は植物分類上の差はありませんでした

どちらも「カエデ科カエデ属」。「モミジ属」のようなものはないそうです。

カエデの中で、特に紅く色づくものをモミジとしていて、その種類には「イロハモミジ」や「ヤマモミジ」などがあります。

また、盆栽の世界では

  • モミジ:葉が小さく切れ込みが深く、色が真っ赤になるもの
  • カエデ:葉が大きく切れ込みが浅いもの

と分類されているようです。カエデの中の一部がモミジで、葉の特徴で分けられていると言うわけですね。

カエデの語源は「かえる(蛙)手」だそうなので、そこからも葉の形で区別されていたことが伺えます。

ちなみに私のイメージの中にあったカナダの国旗は「サトウカエデ」という種類で、英語ではモミジもカエデも「メープル」。区別するのは日本独特のことのようですよ。

カナダの国旗に描かれたサトウカエデとイロハモミジ。葉の切れ込みの深さの違いが伺えますね。

黄色に色づいた木も「紅葉」と言うの?

 

「どこかに紅葉を見に行こう!〇〇の紅葉は紅いよね。△△は黄色っぽいし…どこがいいかなぁ。」なんて会話をしたことありませんか?私はあります!

秋の野山は紅色だけではなく、紅や橙、黄色など、とてもカラフルに彩られていますよね。

でもその様子を表す言葉は「紅葉」。

橙色や黄色の葉も「紅葉している」に含まれるのでしょうか

調べてみてビックリ!「こうよう」には「黄葉」という漢字もあるそうです。読んで時のごとく、黄色に色づいた葉やその様子を表す言葉ですが、さらに驚いたことに奈良時代に詠まれた万葉集では、「こうよう」を詠んだ歌のほとんどが「黄葉」を詠んだものなんですって!

当時の人々は紅く色づい様子より黄色に色づいた様子に心を奪われたということでしょうか。

その感性がどこから来たものなのか調べてみると、中国からの影響が大きかったようです。

戦国時代の中国で発生した「陰陽五行説」という哲学の様な思想によると、万物が「陰と陽」そして木、火、土、金、水と言う5つの元素である「五行」でできているとしていて…

まあつまりは、その思想のなかで最も尊ばれていたのが黄色であった。そして奈良時代以前の日本は中国文化の影響をとても大きく受けていたので、黄色…ひいては黄色く色づいた木々に特別な意味を感じていたのではないか…と言うことです!

その後は、紅く色づく様子も黄色や橙に色づく様子も合わせて「紅葉」と表現されるようになって今に至っているとの事。

元は「黄葉」だったとは驚きましたが、今は紅も黄色も両方含めた意味で使われることがほとんどなようです。

[kanren postid=”x,x”]『紅葉』と『もみじ』違い・種類って?日本を彩る紅葉の雑学

秋に紅葉する仕組み

秋の野山が黄葉したり紅葉したり…とお話してきましたが、緑→黄→紅と色が変わっていくものもあれば、イチョウのように緑→黄、イロハモミジのように緑→紅と色づくものとさまざまです。

どのような仕組みで色が変化していくのでしょうか?

紅葉するメカニズム

植物が紅葉するのは、葉に含まれる色素の量が変化していくからです。

春や夏は緑色をしています。これは葉の中に緑色に見せる「クロロフィル(いわゆる葉緑体)」という色素が多いから。実はこの時点で、黄色に見せる「カロチノイド」という色素も含まれていますが、クロロフィルの含有量が多い為目立ちません。

秋になり気温が下がってくると、クロロフィルが老化してアミノ酸に分解され、カロチノイドが目立つようになり、葉が黄色く色づきます。

また、葉に残った糖分やクロロフィルから分解されたアミノ酸を材料にして葉を紅く見せる「アントシアニン」という成分が生成され、葉が紅く色づきます。

文章にするとわかりにくいですよね。図解で説明しているサイトと、わかりやすく解説されている動画を見つけました。

特に動画のでは、黄や紅に色づく理由まで説明されています。人間と同じように、〇〇〇から身を守る為なんですって!

色の変化はどう起こる?

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モミジの色の違いは血液型にあった!

植物が紅葉する仕組みはわかりましたが、黄色くなるものと紅くなるものはどのように区別できるのでしょうか。

理由はさまざまあるのかもしれませんが、モミジにおいては、なんと血液型が関係しているのだそうです。

植物に血液型!?

実は植物は人間と同じようにABO型、つまりA、B、O、ABの4種類の血液型を持っているものがあります。

血液と言っても人間のように血管に血液が流れているわけではなく、測定には植物をすりおろした液を使うそうなので、言うなれば…「樹液型」??とにかく、液中の糖タンパクの種類で区分するようです。

ABO型で区分すると、モミジでは

  • O型は紅
  • AB型は黄

に、それぞれ色づくそうですよ。これからモミジを見るたびに「あ、この木はO型ね…」なんて思っちゃいますね。

ちなみにこのように糖タンパクの種類で血液型を区分できる植物は全体の中の約10%。

そのうち約8割がO型、次にAB型で、A型・B型はとても珍しいそうです。

せっかくなのでそれぞれ血液型の身近な植物もご紹介します。

O型の植物

  • ダイコン
  • ツバキ
  • ゴボウ
  • サザンカ
  • キャベツ
  • ブドウ

AB型の植物

  • バラ
  • スモモ
  • ソバ

A型の植物

  • アオキ
  • ヒカサキ

B型の植物

  • イヌツゲ
  • セロリ

などです。さすが多いだけあって、O型の植物はよく知っているものが含まれています。

モミジ狩りって、なんで「狩る」って言うの?

春に桜を愛でることは「花見」。十五夜に月を愛でることは「月見」。

…なんでモミジ(…と言うか紅葉)を愛でることは「モミジ狩り」?「モミジ見」じゃなくて?

まさかマ行が多くて言いにくいから、なんて理由ではないでしょう。

実ははっきりとした由来はわかっておらず諸説あるそうですが、有力な説をいくつかご紹介しします。

狩猟の後の宴から

秋はウサギや鹿などの狩猟のシーズンで、貴族たちが狩りの後に紅葉を愛でながら宴を開いていました。その後いつしか狩りをしなくなり、紅葉を愛でる習慣だけが残ったという説。

今で言う「ただ飲みたいだけ」状態でしょうか(笑)

実際に採集していた

「狩り」には動物を狩猟する方以外にも、果物や野菜を採集するという意味もあります

「いちご狩り」や「みかん狩り」という言葉で使っていますよね。

最近は外交人観光客のマナー問題などもあり、春の桜や秋のモミジの枝に触れたり折ったりすることは禁止されていますが、古の時代を記すものには、紅葉の枝をもって遊ぶ姿などが描かれています。

そのことから、当時はモミジ狩りにいって、実際に美しい枝葉を採っていたことが考えられます。

狩猟をしない貴族が出現した

中世に入ると狩猟をしない貴族があらわれ、そんな貴族たちが言葉遊びとして秋のイベントの狩りになぞらえて、紅葉を愛でることを紅葉狩りと言うようになった、とされているわけです。

モミジにも花が咲く

モミジって葉の印象が強すぎて考えたことがありませんでしたが、花も咲きます。晩春に花をつけるみたいですよ。

モミジの花を映した動画です。繊細な花ですね~!

[arve url=”https://www.youtube.com/embed/qbvfOI75n_c” mode=”normal” /]

まとめ(紅葉の雑学)

日本の秋を彩る「紅葉」についてあれこれと調べてきました。

  • 和語の「もみじ」に漢語の「こうよう」の漢字を当てたので、全然違う読みで同じ漢字を使う
  • モミジはカエデの中の一部で、特に葉の切れ込みが深いものが分類される。
  • 葉が黄色に色づくことを「黄葉」と書いて「こうよう」とも読むが、今は黄色に色づくことも紅く色づくことも含めて「紅葉」と表現することが多い
  • 紅葉するメカニズムは葉の成分にあり、モミジでは血液型も関係する。
  • モミジ狩りという言葉の由来は諸説あるが、昔の狩猟と関係しているものが多い。
  • モミジは春に繊細な花を咲かせる。

このようなことがわかりました。

その彩りのように奥深い紅葉の世界。少しだけ詳しくなって、いつもより深く秋を楽しんでみませんか?




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