2019年は猪(いのしし)年ということもあり、一年の抱負に猪突猛進というキーワードを使っている人もいるのではないでしょうか。
古来より日本では干支を意識する機会が多いと思います。
今回は四字熟語で干支の猪が入った「猪突猛進」の意味や使い方について具体例を交えながら、わかりやすく解説します。
猪突猛進の由来・意味
「猪突猛進」を辞書で調べると次ような意味があります。
周囲の人のことや状況を考えずに、一つのことに向かって猛烈な勢いで突き進むこと。
デジタル大辞泉
一つのことに向かって、向こう見ずに猛烈な勢いで、つき進むこと
大辞林 第三版
ひとつのことに向かって向こう見ずにまっすぐに、猛烈ないきおいで突き進むこと
精選版 日本国語大辞典
引用:コトバンク
辞書によって少し表現が異なりますが、『1つのことに向かって』『突き進む』というキーワードは共通です。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”] 「猪突猛進」の言葉を分解するとより理解しやすいわよ。[/voice]「猪突猛進」の『猪』はそのまま『イノシシ』を表します。
そして、『突猛進』は『突進』と『猛進』が組合わさった言葉です。
『突進』とは『目標に向かって突き進むこと、真っ直ぐに突き進む』ことを意味します。
『猛進』とは『激しい勢いで突き進む』ことを意味します。
よって、「猪突猛進」とはイノシシが目標(獲物)に向かって一直線に激しい勢いで突き進む姿を見て生まれたのが由来とする説もあります。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”] つまり、「猪突猛進」は目標に向かって脇目も振らずに突き進むって意味ね[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”l”] 僕も仕事の目標に向かって猪突猛進で頑張るぞ![/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”] うーん。その使い方はちょっとどうかな[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”l”] えっダメなの!?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”] そしたら次は「猪突猛進」の意味をさらに詳しく解説するわね[/voice]
猪突猛進はいい意味では使われない!?
「猪突猛進」はただ、目標に向かって突き進むだけでなく、『1つのことに向かって過程や結果を気にせずに、猛烈な勢いで突き進む』ことを意味します。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”] 目標に向かって進む姿は素晴らしいけど、過程や結果が伴わないのはダメだね[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”] そうね。また「猪突猛進」は日本で生まれた言葉で、中国には存在せず似たような言葉しかないのよ。[/voice]実は「猪突猛進」は日本で生まれた言葉で、中国では通じません。
また、中国で「猪突猛進」に類似する言葉として「突飛猛進(フェイ-トゥ-モン-シン)」、「盲目冒進(マン-ムー-マオ-ジン)」 という言葉があります。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”] 意外!てっきり中国が起源の言葉かと思ったよ[/voice]実は、中国語では「猪」というと豚を表し、「イノシシ」は野猪という漢字になります。
中国で明の時代(16世紀)に執筆された伝奇小説で有名な『西遊記』でもイノシシが登場します。
この物語の中では知恵を使いながら三蔵法師に使える孫悟空とは対照的で、むしろ怠け者で鈍感なキャラクターとなっています。
[box class=”blue_box” title=”イノシシ(野猪)とブタ(猪)”] ブタは生物学的にはイノシシ科であり、イノシシの亜種とされています。元々、ブタという動物は自然界に存在しません。
野生のイノシシのうち家畜化に成功した種族のイノシシがブタと呼ばれています。
そのため、中国語では、ブタが『猪』で、家畜化されていない野生の猪を『野猪』と表します。
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中国では「突飛猛進」という言葉があります。
「突飛猛進」の『突飛』が日本に伝わる際に『猪突』に変わって伝わってきたという説もあります。
しかし、「突飛猛進」には『発展が非常に早い』、『飛躍的に進歩する』といったプラス要素の意味で使われます。
そのため、「猪突猛進」を「突飛猛進」に置き換えてもイメージが伝わりにくいため、思考停止に陥る行動として戒められている「盲目冒進」という言葉に置き換えられます。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”] そうなると「目標に向かって頑張るぞ!」を伝えたいときにはどうすればいいのかな?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”] そしたら次は「猪突猛進」の類似の意味をもつ四字熟語を紹介するわね[/voice]
猪突猛進の類似語
「猪突猛進」の類似語を「猪突猛進」と同じマイナス要素を表す四字熟語と、「猪突猛進」とは異なりプラス要素を表す四字熟語に分けてご紹介します。
猪突猛進と同じくマイナス要素で使われる類似語・対義語
四字熟語 | 読み方 | 意味 |
暴虎馮河 | ぼう-こ-ひょう-が | 虎に素手で立ち向かい、大河を歩いて渡ること。転じて、血気にはやり無謀なことをすること |
直情径行 | ちょく-じょう-けい-こう | 直情はありのままの感情、径行は思うことを曲げず行動することを意味し、感情に身を任せて行動すること |
匹夫之勇 | ひっ-ぷ-の-ゆう | 匹夫は身分の低い男(転じて未熟で思慮の浅い人)を表しその者の勇を意味し、思慮が浅く血気にはやってただガムシャラに力を振るうだけのつまらない勇気のこと |
猪突猛進とは異なりプラス要素で使われる類似語
四字熟語 | 読み方 | 意味 |
一心不乱 | いっ-しん-ふ-らん | 何か1つの物事に心を集中し、他のことに心を奪われないこと |
一意専心 | いち-い-せん-しん | 一意は1つの物事に心を注ぐこと、専心は心を1つのことに集中することを意味し、他の物事に心を動かされず、ひたすら1つのことに集中すること |
勇往邁進 | ゆう-おう-まい-しん | 勇往は勇んで行くこと、邁進は勇敢に突き進むことを意味し、自分の目的・目標に向かって、恐れることなく、ひたすら前進すること |
猪突猛進と逆の要因でマイナス要素で使われる類似語
四字熟語 | 読み方 | 意味 |
優柔不断 | ゆう-じゅう-ふ-だん | 気が弱く決断力に乏しいこと |
意志薄弱 | い-し-はく-じゃく | 意志が弱く決断することができなかったり、一度決めたことを、人の意見ですぐ翻す場合にも用いる |
猪突猛進と逆の要因でプラス要素で使われる類似語
四字熟語 | 読み方 | 意味 |
熟慮断行 | じゅく-りょ-だん-こう | 熟慮は十分に考えること、断行は思い切って行動することを意味し、十分に考えたうえで決断し、行動すること |
思慮分別 | し-りょ-ぶん-べつ | 思慮はいろいろ慎重に考えることを意味し、分別は物事の是非や道理を常識的に考えること。転じて物事に対して注意深く考えをめぐらし、判断する。または、物事の道理をよく理解し、凝らして判断すること |
また、相手をほめる時に使うときは「一意専心」や「勇往邁進」の方がいいわね[/voice]
猪突猛進の使い方・具体例
最後に、猪突猛進をどのように使うのか、具体例をご紹介します。
例:彼は得点を取るためバスケットゴールに猪突猛進のドリブルをした結果、ファールを取られた。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]
目的達成のために突き進んだ結果、失敗した例ね[/voice]
例:時間短縮のため、彼は旅先まで猪突猛進の如く車を運転し、周りの運転手に迷惑をかけた。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]
目的達成のために突き進んだ結果、成功したけど周りに迷惑をかけた例ね[/voice]
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”l”]
どの例文も、すぐに行動するけど周りを見ないで失敗している感じだね[/voice]
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]
悪い意味合いで使われるけど、良い点としては『すぐに行動する実行力』ね!
これの対義語としては優柔不断という言葉があるわね。[/voice]
まとめ
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”] 猪突猛進って「後先顧みず突っ走る」という意味であまりよいイメージでは使われないんだね[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”] ただ、猪突猛進は「過程・結果を気にせず目標に向かっていく様子」を表しているだけで、猪突猛進に物事を進め、成功した場合は「大胆不敵」、「勇猛果敢」などと賞賛されることもわるわね。[/voice]- 猪突猛進とは「過程や結果を気にせず目標に向かって突き進む様子」を意味する
- 「猪突猛進」は良い意味では使われず、悪い意味で用いられることが多い
- 中国では「猪突猛進」を「盲目冒進」という思考停止して行動する意味を表す言葉に読み替えられる
- 「暴虎馮河」、「直情径行」、「匹夫之勇」という類似語があり、これらも悪い意味で用いられる
- 「一心不乱」、「一意専心」、「勇往邁進」という類似語もあるが、こちらは良い意味で用いられる
辞書の場合ページ数の制限でやや抽象的な表現が多いため難しいですか、今回はそれらを気にせずなるべく詳細に解説をしたつもりです。
この記事を読んで自分は「猪突猛進」と「勇往邁進」のどちらのタイプなのか振り返ってみてはどうでしょうか。
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