寒くなってきたなあと思えば、あっという間に大晦日! 年末は本当に時間がまたたく間に過ぎてしまいますよね。
クリスマスにお正月と、イベントも盛りだくさんです。
買い物へ行って、飾り物コーナーをのぞいてみると、気の早いものでクリスマスどころかお正月飾りまでちらほら見られるほど……。
そこでふと、目についたのは、鏡餅。
プラスチック製の容器にお餅を入れている、よく見かけるタイプの飾り物でした。
そういえば、小さい頃祖父母の家では、ちゃんとお餅で鏡餅を作っていたような……。
昔の記憶をたどっているうちに、知識欲が揺さぶられはじめた私は、家に帰ってから鏡餅のことについて調べ始めました。
伝統的な鏡餅とは、いったいどのようなものなのだろう?
調べているうちに面白いことがわかってきたので、ご紹介します!
鏡餅にみかんを載せるのはなぜ?
毎年お正月になると必ず飾る鏡餅ですが、どうして飾るのかと聞かれると、すぐに答えられる人は多くないはず。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]習慣になっているものって、意外と意味や由来を知らないことが多いですよね[/voice]そこでまずは、鏡餅の意味や由来について調べてみました!
鏡餅を飾る理由
鏡餅は、もともとその年の神様である年神様へのお供え物であり、年神様が降りてきた際の居場所(依り代)であるとされています。
また、一年を安泰に暮らすために、年神様が鏡餅に宿って魂を分けてくださることから、魂の象徴であるともされています。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]鏡餅を飾る文化は、実は平安時代から続いているのよ[/voice]では、どうして鏡餅がそのようなものだとされているのでしょうか?
その秘密は、鏡餅の丸い形にあります。
鏡餅の丸い形は、昔の鏡をかたどったものです。
かつて鏡は、ものの姿を写す神秘的なものとして、儀式などに用いられていました。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]日本の三種の神器にも八咫鏡(やたのかがみ)があるし、鏡をご神体として奉っている神社もあるわ[/voice]鏡餅は、そんな神様の力の宿る鏡をかたどることによって、年神様が無事降りて来られるようにと、丸い形をしているのです。
また、一般的に鏡餅は大小の餅を二段に重ねていますが、これには「無事に年を重ねる」という願いや、「夫婦円満」の願いが込められているのだとされています。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]地域によっては、片方の餅を紅色に塗って、紅白にした鏡餅もあるわ[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”r”]こうすれば夫婦円満の意味がはっきりわかって、より縁起よく見えるわね![/voice]どうしてみかんを乗せるの?
ところで、鏡餅の上には必ずみかんが乗せられています。
これはどうしてなのでしょうか?
まずはじめに、実は鏡餅に乗せるのは正式にはみかんではないのです。
実際に乗せるのは橙(だいだい)という、同じ柑橘系でもみかんよりも大ぶりな果物です。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]「橙色(だいだいいろ)の「だいだい」のことね[/voice]橙は入手しにくいことや、現在流通しているプラスチック製の鏡餅には乗せにくいことから、みかんを乗せるようになったものと考えられます。
それではどうして鏡餅に橙を飾るのでしょうか?
一つ目の理由として、橙は大きくなるまで木から落ちないことから、家が末永く繁栄するとの願いが込められているという点が挙げられます。
また、もう一つの理由としては、「だいだい」という音が「代々」と同じであることから、家が代々栄えるように、という願いが込められているというのもあります。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]橙は家の繁栄を願って備えられた縁起物だったのね[/voice]ちなみに、橙を載せた鏡餅は、このようにどっしりしていて風格があります。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”]いかにも神様の宿る場所らしく、堂々として立派でいいな![/voice]鏡餅はいつから飾る? いつまで飾る? 食べられるの?
ところで、みなさんは鏡餅をいつから飾っているでしょうか?
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”]元旦からじゃないのか?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-9.png” name=”かな” type=”l”]うん、前まではそうしてたんだけど……[/voice]わたしの家でも1月1日に鏡餅を飾っていたのですが、実は飾るのにもっともよい日とされるのは「12月28日」だったのです!
というのも、12月28日は漢字で書くと「八」の字が含まれるため、末広がりの意味あいがあり、縁起のいい日であるとされているからです。
また、12月28日のほかにも、大安の日などに飾るのもよいとされています。
いずれにしても、年の明ける前に飾るのが通常で、12月31日の大晦日に飾るのさえ、「一夜飾り」といって誠意がないという理由で避けられるものだったのです。
[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/nigaoemaker-1-1.png” name=”夫” type=”r”]いや~知らなかったなあ![/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]ちなみに、29日は「苦」にかかるから縁起が悪いとされていたりもするわ[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”l”]鏡餅はなるべく早く飾ることに越したことはないわね![/voice]さて、次は鏡餅をいつまで飾るのかについてです。
鏡餅を下げるのは、一般的に1月11日の「鏡開きの日」であるとされています。
鏡開きは、元々は武家の行事だったのが、江戸時代にほかの庶民にも広がったものです。
鏡開きが1月11日に定められたのは江戸時代のことで、元々は1月20日でした。
しかし、この20日という日が、徳川将軍家光の亡くなった4月20日と同じ日であったため、避けられるようになったのです。
また、ほかの説として、燃えやすい正月飾りを20日まで飾っておくのは危険であるため、11日に早めたというものもあります。
鏡開きでは、備えた鏡餅を木槌で割り、お雑煮などにしてみんなで食べます。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]ちなみに、鏡餅を飾るのは一つではなく、家の中の飾りたい場所に複数飾ってもいいのよ[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”r”]メインの大きいものを床の間やリビング、小さい物を仏壇や神棚などに飾って、家中に御利益をもたらすようにすれば完璧ね![/voice]鏡餅を食べるには?
[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/nigaoemaker-1-1.png” name=”夫” type=”r”]それにしても、鏡餅って食べられたのか![/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”l”]もちろん!みんなで御利益を分かち合うことだから、大切なことよ[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-10.png” name=”かな” type=”l”]ただし、二週間以上飾ってカビちゃうことが多いから、食べる時は気をつけなくちゃね[/voice]現在ではプラスチック製の鏡餅が多く流通しているため、食べる機会があまりないかもしれない鏡餅ですが、食べることはもちろん出来ます。
食べる際は、次のようにして処理するのが大切です。
[box class=”pink_box” title=”鏡餅の食べ方”]- 冷蔵庫に入れるか天日干ししてしっかり乾かす。
- ひびの入った場所からハンマーでたたくなどして割る。
- 水を張った耐熱容器に入れてラップをかけ、柔らかくなるまで電子レンジで加熱する。
柔らかくした餅は、お汁粉やお雑煮などにして食べるのがおすすめです!
ただし、鏡餅はあたたかい部屋に飾られているため、黒カビなどが発生することがしばしばあります。
カビの生えた鏡餅は、少しであれば取り除いて食べられないこともないのですが、なるべく食べない方が無難です。
そのため、カビの生えた鏡餅は、
[box class=”pink_box” title=”カビの生えた鏡餅はどうする?”]- どんど焼きで正月飾りと一緒に燃やす。
- 塩でお清めして半紙などに包み、燃えるゴミに出す。
などの方法で処理するのがよいでしょう。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]お正月飾りはゴミに出す場合でも、袋を分けてお塩で清めるのが一番よい方法よ[/voice]鏡餅の飾りつけってどうするの?
ここまで鏡餅や橙を正月に飾る由来についてお伝えしてきました。
ところで、みなさんのイメージする鏡餅には、きっとお餅や橙だけでなく、ほかにもいろいろな飾りつけがされているものと思います。
あれらの飾りにも意味や由来があるのでしょうか?
そこで今度は、そのほかの飾りつけについて解説していきます!
鏡餅に干し柿を飾るのはなぜ?
先ほど橙について解説した際にご紹介した鏡餅の画像をもう一度見てみましょう。
この画像を見て、あれ、と不思議に思うことはありませんでしたか?
わたしには、毎年飾る鏡餅には見かけない飾りがあって、なんだろう、と不思議に感じた点がありました。
それは、橙の両隣にはみだして飾られている干し柿です。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-9.png” name=”かな” type=”r”]こんな飾りがあること、知らなかったのよね……[/voice]これは「串柿」と呼ばれているもので、とりわけ関西地方ではポピュラーな飾り付けなのです。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”]でも、どうして干し柿なんだ?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]柿は、「嘉来(かき)」、つまり「幸せがやってくる」とも書く、とても縁起のいい食べ物だからよ![/voice]また、柿には大きな種が入っていることから、子宝に恵まれるという意味も込められています。
さて、縁起のいい柿を串に刺していくつも並べた串柿ですが、実は飾る数も縁起を担いで決まっています。
串柿に刺す干し柿の数は、
[box class=”pink_box” title=”干し柿の数”]- 串の両端に2個、真ん中に6個、合計10個
- 串の両端に1個、真ん中に3個、合計5個
がよいとされています。
10個の場合、両端の2個は「ニコニコ」を表し、真ん中の6個は「仲睦(六つ)まじい」を表しており、笑って仲良く一年を過ごそうという願いが込められています。
一方5個の場合は、「ひとりひとり(1個と1個)がみな(3個)幸せに」という意味が込められています。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”r”]どちらも家族みんなが幸せになるように、という願いが込められているのね![/voice]串柿は、干し柿を自分で串に刺して作るのもよいですが、専用のものが市販されてもいます。
ちなみに、串柿のほかにもエビや昆布を飾ることがあり、鏡餅は伝統的な縁起物を詰め合わせた、まさに一年の始まりにふさわしい最高の縁起物なのです。
鏡餅の飾り方
それでは最後に、鏡餅の全体的な飾り方についてご紹介します!
[arve url=”https://www.youtube.com/embed/BI9b-WXwMOM” mode=”normal” /]下から順に乗せて行くものを示せば、次のようになります。
[box class=”pink_box” title=”鏡餅を飾る手順”]- 三方(さんぽう)
- 奉書紙(ほうしょがみ)、または四方紅(しほうべに)
- 裏白 (うらじろ)
- 御幣(ごへい)
- 小さな餅
- 下の鏡餅
- 昆布
- 上の鏡餅
- 串柿
- 橙
- 海老
- 松竹梅
それぞれの飾り物について、まだ紹介していなかったものを表にまとめて簡単に解説します。
三方 | 神様にお供えものをするための台。神事で使われる。 |
奉書紙・四方紅 | 縁が赤く塗られているため、四方紅と呼ばれる。天地四方の災いを払うという意味がある。 |
裏白 | シダの葉の一種で、裏が白いため清めの意味がある。また、古い葉と新しい葉が一緒に生長するので、末永く栄えるようにとの意味も持つ。 |
御幣 | 紅白の紙。赤い色は魔除けの意味を持つ。また、紙手(しで)とも呼ばれ、四方に大きく繁盛するように、との意味もある。 |
昆布 | 「喜ぶ」という言葉の語呂合わせ。 |
海老 | 「海の老」と書くことや、腰の曲がった姿から、長寿の願いが込められている。 |
松竹梅 | 松は樹齢の長さから「長寿」、竹はまっすぐ伸び強く根を張ることから「子孫繁栄」、梅は香りの高さや冬に花を咲かせることから「気高さ」や「生命力の強さ」を表す。 |
まとめ
鏡餅の豆知識をご紹介してきました。みなさん、いかがでしたでしょうか?
それでは、今回の内容をまとめます。
[box class=”pink_box” title=”まとめ”]- 鏡餅は年神様へのお供え物であり、鏡をかたどったもの。
- 橙は、家の橙の繁栄を願って備えられる。
- 鏡餅は12月28日から1月11日の間飾られる。
- 鏡餅を食べるには電子レンジで柔らかくする。ただしカビには注意!
- 串柿は、家族がみんな幸せに暮らせるようにという縁起物
現代では実際にお餅を鏡餅として飾るご家庭は少ないかもしれませんが、由来を知ると、今年は挑戦してみようかな、と思えてきますよね。
わたしの家でも来年は本当の鏡餅を飾って、いかにも日本らしい新年を迎えてみようと思います。
それではみなさん、よいお年を!
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