お正月。
初詣に行って、親戚にご挨拶して、おせちを食べて、お餅を食べて、雑煮を食べて…
なんだかんだで、食べてばかりですよね…
ならば、七草粥(ななくさがゆ)は食べていますか?
「え、なにそれ?」
「詳しくは知らないけど、そんなのあるよねー」
「知ってるけど、作るのが面倒だから…」
様々な声が聞こえてきそうです。
(え、全部私が思っていることではないかって?…当たりです(笑))
今回は七草粥について、由来や使われている七種類の野草について、いろいろと紹介します。
また、七草粥の作り方についても簡単に紹介しますので、参考にしてくださいね。
これを読んだら、次の正月には興味が湧くかも?湧くかも!
七草粥について知ろう!
七草粥(ななくさがゆ)とは?
七草粥とは、春の七草を入れて炊いたお粥(かゆ)の事です。
日本では、1月7日の朝に「無病息災」や「長寿健康」を祈って、七草粥を食べる風習があります。
この理由は、後の由来に深く関係しています。(そちらを参照)
また、「お正月にごちそうを多く食べ、負担がかかった胃腸を労わるため」と言う名目もあります。
と言うのも、お粥は消化がいい食品の代表格と言っても、過言ではないからです。
また、食欲増進や健胃作用、消化酵素を持つ野草も使用しているので、胃腸をいたわる手助けをしてくれます。
ただし、いくら消化のいいお粥でも、かまずに飲み込んでは消化する力を十分に使えず、胃腸に負担がかかります。
さらっと食べられるお粥でも、きちんと噛んで食べましょうね!
七草粥の由来とは?
どうして1月7日に食べるの?
それは、1月7日は「人日の節句(じんじつのせっく)」で、その行事の一つだからです。
別名、「七草の節句」とも呼ばれています。
そもそも、1月7日が節句だなんて、この事実自体がびっくりですよね。
古来、中国では1月7日を「人日(じんじつ)」と定めていました。
その名の通り「人の日」で、中国では元日から7日までの日に動物を当てはめ、その日には殺生は行わないようにしていたそうです。
7日に当てはめたのが人で、その日は刑罰も行わなかったそうです。
[box class=”blue_box” title=”プチコラム1:節句とは?”]節句とは「季節の変わり目に、伝統的な年中行事を行う日」です。
中国の陰陽五行説に基づいたもので、奇数日は陽(縁起がいい)、偶数は陰(縁起が悪い)とされていました。
奇数月の奇数日は、奇数が重なって偶数になり、厄災が強まる日という事で、邪気を払い、無病息災や五穀豊穣を祈って行事を行います。
中国から日本に伝わり、江戸時代に「五節句」が定められて、行事が日本中に広まったそうです。
日付 | 節句名 | 特徴 |
1月7日 | 人日の節句 | 七草粥 |
3月3日 | 上巳の節句 | 女の子の誕生と成長を祝う(雛祭り) |
5月5日 | 端午の節句 | 男の子の誕生と成長を祝う |
7月7日 | 七夕の節句 | 笹の葉に短冊を飾る、織姫と彦星が逢瀬を果たす日とも |
9月9日 | 重陽の節句 | 菊の花を飾ったり、菊酒を頂く |
1月だけは1日が元日として祝われるため、7日となっているという説があります。
ちなみに、11月11日は入っていませんが、これには一桁の数が重要で、「9が極めの陽の数」だからのようです。
9月9日は、強い陽が重なっているから、重陽の節句と名付けられたんでしょうね。
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七草粥の起源は古代中国!
古来、中国では人日に、七種類の野菜を入れた熱い吸い物「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」を食べて、無病息災を祈る風習がありました。
唐の時代(618年~907年)には、行われていたという記録があるそうです。
(歴史で習う遣唐使の時代ですね、とはいっても、昔すぎて見当もつきませんねぇ…)
一方で、日本には「若菜摘み」という、初春に芽吹いた菜を摘んで食し、邪気を払って病魔を退散させるという行事が行われていました。
中国から日本に伝来した際に、それぞれの風習が融合し、今の形になったとされています。
正月は暦の上では初春とされていますから、どちらの風習もちょうど同じころに行われていて、結びつきやすかったという事かもしれませんね。
初めは宮中行事でしたが、江戸時代以降に人日の節句が五節句として定められてから、庶民の間でも食べられるようになりました。
七草粥に使う野草の種類とは?
七草粥に使うのは、春の七草です。
春の七草とは、以下の7種類のことを指します。
名前は知っているけど、どんなものかはわからないという人も多いのでは?
かくいう私も、実は今回調べるまで知らない効能がたくさんありました!
ここでは、具体的にそれぞれの野草(野菜)について紹介します。
[box class=”blue_box” title=”プチコラム2:春の七草に対して…?”]「春の」七草と言うからには、実は「秋の」七草もあります。
春の七草は「食べる」物ですが、秋の七草は「鑑賞する」物だそうですよ!
詳しくはこちら
⇒秋の七草って知ってる?その由来と意味について調べてみた
せり
<意味>
競争に「せり(競り)」勝つ
<効用>
食欲増進、解熱、鎮静、免疫強化、血栓予防、高血圧予防など
<主な栄養素>
ビタミンB2、ビタミンC、βカロチン、食物繊維、オイゲノールなど
<選び方>
葉がみずみずしく緑色が鮮やかなもの、茎があまり太くないもの
古くなると葉の色が黄色っぽくなり、へなへなする
なずな(ぺんぺん草)
<意味>
撫でて汚れを取り払う
<効用>
利尿作用、疲労回復、高血圧予防、貧血予防など
<主な栄養素>
ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸、カリウム、鉄、βカロテンなど
<選び方>
花が咲いておらず、変色や枯れた部分がないもの
ごぎょう(母子草)
<意味>
仏の体を表す
<効用>
鎮咳、去痰、利尿作用
<主な栄養素>
タンパク質、ミネラル類、ルテオリン、ケルセチン
(と報告があるようですが、不明な点が多いようです)
はこべら
<意味>
繁栄がはこびる(葉が茎に群がるようについているため)
<効用>
歯槽膿漏、消炎、整腸作用
<主な栄養素>
タンパク質、カルシウム、鉄など
ほとけのざ(コオニタビラコ)
<意味>
仏の安座
<効用>
健胃、食欲増進など
<主な栄養素>
抗酸化物質(あまり知られていないようで、詳細は不明です)
すずな(かぶ)
<意味>
神を呼ぶ鈴
<効用>
健胃・整腸作用、高血圧予防、免疫強化、疲労回復など
<主な栄養素>
(根)アミラーゼ(消化を助ける酵素)
(葉)βカロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウム
<選び方>
葉が活き活きとした緑で、しゃきっとしている物
根が真っ白で艶があり、重みを感じるもの
すずしろ(大根)
<意味>
けがれのない白、純白
<効用>
健胃・食欲増進、利尿作用、高血圧予防、免疫強化など
<主な栄養素>
(根)ジアスターゼ(消化を助ける酵素)
(葉)ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、カリウム、カルシウム
<選び方>
色が白く、触った時に張りがあり、みずみずしいもの
七草粥を食べる理由と七草の効能を結び付けてみると?
今までの野草を、効能別に分けてみていきましょう!
無病息災=免疫力強化
- せり
- なずな
- すずな
- すずしろ
病気にかからずに過ごすという事では、免疫力をあげて病気を遠ざけることも大切です!
胃を労わる=健胃作用
- せり
- はこべら
- すずな
- すずしろ
消化酵素で消化を助けたり、食欲増進効果もあるので、胃の働きを助ける効果抜群ですね!
長寿健康=生活習慣病予防など
- せり
- なずな
- ごぎょう
- はこべら
- すずな
- すずしろ
高血圧予防、貧血予防、利尿作用でむくみ予防などにもつながります。
また、歯の健康は糖尿病予防にもつながるという報告もあるようですよ。
以上、意味合いから考えてまとめてみました。
こうしてみると、いかに七草粥が風習に合った食事であるかが分かります。
地方によって違う「七草」
地方によって、七草粥と言っても入っている食材が異なる場合があります。
現在は、七草をセットにしたパックがスーパーで並んでいるので、どこでも手に入りやすくなりました。
しかし、昔はそうはいかず、全ての七草が手に入るわけではありませんでした。
なので、代わりにニンジンやゴボウ、三つ葉、凍み豆腐、鶏肉など、その地方の風土や気候に合わせて選ばれていたようです。
鶏肉やゴボウなら、だしも出てきっとおいしいでしょうね。
また、七草粥と言う名前ではなく、例えば東北地方では「けの汁」と呼ばれるものを食す場合もあります。
そもそも、1月7日には行わず、小正月の1月16日に食べるという地方もあるそうです。
七草粥の作り方
伝統的な作り方
- 1月6日の晩に、まな板の上に七草を乗せる
- おたまや包丁の背で、細かくたたいていく。叩く回数は7回ずつ×7種=49回とか。
- 叩く際に、「七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトントン」と歌う
- 1月7日の朝にお粥を炊き、朝食として食べる
ちなみに、上記の歌は関東地方の場合で、地方によっても違います。
ただ、多くの歌に共通して「唐土の鳥」と言う言葉は入っており、これが何を意味するのかは詳しくはわかっていません。
推測されているのは、「中国から疫病を運ぶ渡り鳥」「怪物」だそうです。
ですが、昔は中国を唐土と呼んでいたので、渡り鳥と言う推察の方が、より成り立つように感じますね。
実際に作ってみよう!
ネット上には、土鍋を使った、様々な七草粥のレシピが掲載されています。
様々な作り方があるんですね。
そこで、ここではいろんなパターンを図にまとめて紹介します。
分量は?
生米:水の割合=1:7~8、硬めがお好みなら6倍ぐらいが目安です。
1:10の割合まで増やせますが、そこまでいくと、もはや離乳食の初期段階の硬さですね…
材料(4人分)
《生米から作る場合》
|
《炊いたご飯から作る場合》
|
美味しく炊き上げるコツは?
それは2つ。
「ゆっくりコトコト」
「お水は初めから作りたい硬さの分量にする」
です。
特に二つ目は後から水を足すのを、ついついやってしまいますよね。
それは避けるように、ちゃんとお米に対しての水の量を計算して作りましょうね。
どんな作り方があるか、見てみよう!
鍋を使って作る方法を、簡単に図式にしてまとめてみました。
水に浸けておくと、火にかける時間が短くなるので光熱費は節約できます。
ただし、さらっとしたお粥になるので、粘り気が強めの方がお好みの場合は、水に浸けずにすぐに炊きます。
なお、先に七草の下ごしらえをしてもOKです。
もっと簡単な作り方はないの?
実はあります!
炊飯器を使えばいいんです!
七草の下ごしらえを先にして(大根&かぶの下茹で不要)、炊飯器に分量の水とお米を入れてスイッチポン!
おかゆモードが付いている機種は、それを使ってください。
え?初めから炊飯器で作ればいいじゃない、ですか?
でも、土鍋でコトコトつくるお粥は好みの方さで止められますし、味もまた格別ですよ。
ぜひ、チャレンジしてみてくださいね!
え、うちはIHコンロだから、土鍋は使えない?
ご安心を、ガスコンロがなくても、IH対応の土鍋もあります。
(うちもIH、土鍋では無理だ~と言ってたけど、もはや言えなくなっちゃったなぁ…)
[box class=”blue_box” title=”プチコラム3:お粥と言えば離乳食”]お粥の話ついでに、赤ちゃん用に炊飯器で1回分だけ作る方法です。
- 湯飲みを用意する
- 大さじ1のお米を軽く研いで、湯飲みに入れる
- 五分がゆなら大さじ5、四分がゆなら大さじ4の水を湯飲みに入れる
- 大人用にご飯を炊く際、全てセットした状態の中央に湯飲みを入れて、そのまま炊く!
私はこの方法で、日々の夕飯分は作っていました。
(冷凍ストックも作って、それとうまくやりくりして楽してました!)
赤ちゃんにも炊きたておいしいお粥を食べて、大きくなってもらいたいですよね!
赤ちゃんつながりで、こちらもお勧め!
⇒おすすめ!安全で赤ちゃんも嬉しくてにっこり☆クリスマスプレゼント選び[/box]
アレンジを加えてみる
- 餅(地方によっては、野草の代わりに入れる風習がある所も)
- 水に昆布を入れて、だしを利かせる(もっとシンプルに、ほんだしを使うのもGood)
- 鶏ガラスープを使って、中華風に
- お茶漬けの素を使い、お茶漬けに七草を入れて
- 卵や鶏肉を入れて、たんぱく質をプラス(卵の白身は胃に優しいのでお勧めです)
まとめ 七草粥について
- 七草粥とは、春の七草を入れて炊いたお粥(かゆ)
- 七草粥は、1月7日の朝に「無病息災」「長寿健康」「胃腸をいたわるため」に食べる風習がある
- 七草粥を1月7日に食べる理由は、人日の節句の行事だから
- 七草粥の由来は古代中国、日本の風習と融合して、現在の形に
- 七草粥に使われるのは、春の七草という七種類の野草
- 春の七草とは、せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ
- 七草粥の作り方には伝統的なものと、鍋を使う方法、炊飯器を使う方法がある
いかがでしたか?次の1月7日には七草粥を作ってみたくなりませんか?
古来の人たちは、知らず知らずに健康を考えた食材で、その年の祈りをささげていたんですね。
丁度インフルエンザも流行る頃、予防にしっかり免疫力をつけられる七草粥を食べて、まさしく「無病息災」を目指しましょう!