夏に咲く花と聞くと、朝顔を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
私が小学校の頃には学校で朝顔の種を植え、家に鉢植えを持ち帰り、朝顔の成長日記を毎日つけるという宿題が出ていました。
大きな朝顔に育てたくて大きな鉢植えを持って行ったので、夏休み中に持ち帰らなければいけない教科書やお道具箱がぎゅうぎゅうにつまった重いランドセルと一緒に持つのが大変でした。
朝顔を見かけるとそんな思い出が浮かびます。
身近な存在の朝顔ですが、実は皆さんが朝顔だと思っている花以外にも朝顔と呼ばれていた花があるのを知っていますか?
そして、朝顔には別の漢字があるのです。
今回は知っているようで知らなかった朝顔の漢字と意味や由来についてお伝えします。
朝顔は昔は違う花のことだった!?
皆さん、朝顔といえばこの花、と思っていませんか??
[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/02/娘普通.png” name=”娘” type=”r”]そうそう!朝顔ってこの花のことだよね。他にも朝顔って呼ばれる花があるの?[/voice]
奈良時代末期のものとされる日本最古の和歌集『万葉集』に「朝顔」として呼ばれているものは実はキキョウやムクゲのことだったのです。
【キキョウ】
【ムクゲ】
今の朝顔と呼ばれている花は奈良時代に遣唐使が中国から種を薬用として持ち帰ったことで渡来しました。
朝顔とは朝に咲く可愛い花のことを指して呼ばれていて、初めはキキョウ、次にムクゲ、そして渡来してきた今の朝顔になりました。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-10.png” name=”かな” type=”r”]昔の人はキキョウよりムクゲ、ムクゲより今の朝顔の方が可愛いからといって呼び名を変えていったんですね。キキョウも素敵なお花なのにちょっとかわいそうな気もしますね。[/voice]
そして奈良時代に伝来してきたこの朝顔、実は江戸時代に観賞用として大ブームが起こるのです。
江戸時代末期ごろから品種改良が行われ、「変形朝顔」と呼ばれる、花びらが細くなっているものや八重咲の花、また黄色い朝顔まで開発されました。
そのブームから飽きられることなく品種改良を重ねられ、なんと1200程の品種が生み出されました!
その美しさを競う品評会も行われていたそうですよ。
朝顔の意味とは?
色々な花の呼び名とされてきた朝顔ですが、朝顔という呼び名はどのような意味があるのでしょうか。
朝に咲き、昼にしぼむことから朝顔だと思っている方も多いかと思いますが少しニュアンスが違うのです。
本来の意味は朝の美人の顔を喩えた「朝の容花(かおばな)」の意味で、容花とは美しい容姿の花のことを言います。
朝に咲き、昼にしぼむ美しい容姿の花で朝顔。
奈良時代に中国から薬として渡来してきた朝顔ですが、その花の美しさに昔の人は目も心も奪われたのかもしれませんね。
朝顔の本当の名前は?
[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/02/娘普通.png” name=”娘” type=”r”]じゃあ今の朝顔にもキキョウやムクゲのように違う名前があるの?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]いいところに気づいたわね。その通り!今の朝顔と呼ばれているあのお花、違う呼び名があるのよ。[/voice]牽牛花という漢字は見たことありますか?
読み方はウシヒクバナ・ケンギュウカ・ケンゴカで、中国から渡来してきたときの漢名です。
ヒルガオ科の一年草植物で伝来してきた奈良時代は薬用植物としてとても重宝されていました。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]一年草植物というのは、種子から発芽して一年の内に生長・開花・結実して、種子を残して枯死する植物のことを言います。[/voice]
牽牛花の由来は?
この『牽牛花』という名前はどのようにしてつけられたのでしょうか。
花の名前なのに動物の牛が入っているのが少し不思議な感じがしますがこれには理由があるのです。
朝顔の種には下剤となる成分が含まれていて、昔は生薬として重宝されていました。とても高価なもので中国では大事な牛と交換されていたそうです。
牛を牽いて(ひいて)その薬をもらいに行ったことからその種を牽牛子(けにごし、けんごし)と呼び、花のことを牽牛花と呼ぶようになったのです。
牛一頭と朝顔の種が同じ価値になるなんてびっくりですね。
ちなみに種は毒性が強く危険なので試しに飲んでみようなんて絶対にやめましょうね。
七夕伝説との関係
『牽牛』という字、どこかで見たことがあるなぁという方もいらっしゃるかもしれません。
皆さん、七夕の彦星と織姫の話は知っていますか?
アルタイル(彦星)とベガ(織姫)が天の川を渡って1日だけ会えるというあのロマンチックなお話、もともとは中国のお話だったのです。
中国ではアルタイル(彦星)を牛を飼う若者になぞらえて牽牛という名をつけていました。
ベガ(織姫)は機(はた)を織る乙女の織女(しょくじょ)です。
織女は天の川の東岸に住んでいて、一日中機織り(はたおり)をしていました。
織女の父の天帝はそれを見てかわいそうに思い、天の川の西岸に住む牛飼いの牽牛と結婚させました。
すると、織女は結婚するとすぐに機織りを怠けてしまい、それを怒った天帝は彼女を天の川の東岸に帰らせました。
織女はとても悲しんだため、きちんと機織りをすることを条件に7月7日、七夕の夜に牽牛と織女を天の川に架かる橋で会うことを許しました。
このお話になぞらえて江戸時代には、朝顔が牽牛花と名前がついていたことや、花が咲くのが七夕のころだったこともあり、花が咲いた朝顔は牽牛と織女が出会えたことのあらわれとされました。
とても縁起の良いものだったそうです。
ちなみにこの頃の七夕は旧暦だったため、今でいう8月に七夕がありました。
日本では7月だとまだ梅雨時期で晴れている日が少ないですが、8月なら会える確率も上がりそうですね。
[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]朝にきれいな花を咲かせ昼にはしぼんでしまう朝顔と、1年に1度しか会えない牽牛と織女、どちらも儚さと美しさを感じるところもなんとなく通じていませんか?七夕のお話ともつながりがあると思うと、より朝顔がロマンチックで美しい花に見えてきますね。[/voice]
朝顔の開花時期は
夏のイメージが強い朝顔ですが、開花時期は6月~11月ごろまで楽しめます。季節としては夏から秋までです。
種類によって見ごろが変わります。
[box class=”pink_box” title=”朝顔の種類と開花時期”]- 日本朝顔
開花時期:7月~10月
品種:団十郎・平安の香 など
- 西洋朝顔
開花時期:8月~11月
品種:ヘブンリーブルー・スカーレットオハラ など
- 琉球朝顔
開花時期:6月~11月
品種:オーシャンブルー
[/box]種類を変えて植えれば梅雨から秋まで楽しめます。
長く弦を伸ばす朝顔の特徴を生かしてグリーンカーテンにすれば暑い夏も涼しく過ごすことが出来ますよ。
まとめ
奈良時代に中国から日本へ渡来し、今でも人気の朝顔。
身近なお花だと思っていた朝顔ですが、意外と知らないことがあったのではないでしょうか。
これを知っておけば朝顔の観察がより楽しくなるポイントをまとめてみました。
- 朝顔は昔はキキョウやムクゲのことだった。
- 朝顔には朝に咲き、昼にしぼむ美しい容姿の花という意味がある。
- 朝顔の別の呼び名は牽牛花(ウシヒクバナ・ケンギュウカ・ケンゴカ)で、由来は薬として重宝された種の牽牛子(けんごし)からきている。
- 開花時期は6月~11月で種類によって変わる。
青や赤紫の美しい花を咲かせる朝顔。飽きられることなく、古くから愛され続けているこの花を素敵な鉢に植えて、大人の朝顔の観察日記をつけるのも楽しそうです。
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