ある大雨の日のこと。






思わずぞっとしてコンセントを見ると、なんと!コンセントに刺したプラグがかすかに焦げていたのです……。
ますます恐ろしくなって、ゴム手袋をつけてプラグを抜き、慌てて電気会社に連絡しました。
聞くと、どうやら雷が原因の火花のせいなのだそう。
雷でコンセントから火花が出るなんて……ショックでしばらく呆然としてしまいました。
その後雷雨が過ぎてから、何か対策できなかったろうかと落雷被害について調べ始めました。
そこで知った原因や対策方法について、今回はご紹介していきます。
知らずにいると、思わぬ落雷事故に見舞われてしまうかもしれません。ぜひ最後までお付き合いください!
目次
落雷被害について

急な雨とともにもの凄い音を鳴らして落ちる雷。
ゲリラ豪雨と呼ばれる急な雷雨は、今や夏の風物詩のように、毎年見舞われる現象になりました。

各自での雷対策は必須です。
しかし、実際に雷が鳴るまで気にかけないようなことなので、どうすればいいのか分からない……という方も多いかもしれません。
そこでまずは、雷によって引き起こされる問題と、その対策や備えについて簡単に見ていきましょう!
落雷によって引き起こされる問題は?
雷が鳴り出すと、屋外にいる時は建物の中に避難するなどの対策を自然と取ります。
もちろん屋外には直撃や感電などの危険がありますが、屋内でも雷による被害はもたらされます。
具体的な例を挙げますと、
- 停電。
- 落雷電流による感電。
- 直撃による建物の破損。
- 直撃や、コンセントなどから起こる火花による火災。
- 電化製品の故障。
などが、屋内で起こり得る被害として考えられます。
どうして屋内も安全ではないの?
落雷によって屋内にもたらされる問題は、多くが「雷サージ」によるものです。
雷サージとは、落雷のあった際、落ちた場所だけではなくその周辺にも起こる、ものすごく大きな電圧と、その結果流れる大きな電流のことです。
雷サージは普段使う電気の数十倍、数百倍の力を持っているため、ひとたび流れ込んでしまうと電化製品の故障やコンセントからの火花を起こしてしまうのです。


さて、雷サージはどのように家の中へ流れ込んで来るのでしょうか?
実は、雷サージの侵入ルートは多くが不明です。ですが、一般的には、
- 電線
- 電話回線、インターネット回線などの通信線
- アンテナ
- アースなどの接地線
などが侵入ルートとされています。
- 誘導雷:電線や通信線を通って侵入する雷(雷サージ)のこと。
- 逆流雷:アース線を通って侵入する雷(雷サージ)のこと。
アース線は、漏電などによる感電の被害を抑えるために、電気製品の電気を地面へ逃がすための線のことです。

雷サージの主な侵入ルートはこの2つとされていますが、いずれも多くの電気機器に被害をもたらす可能性があります。
雷が屋内に流れ込んでいる可能性があるので、落雷時にコンセントを触れたりするのはもちろん危険です。
また、雷サージによる電気機器の故障は、普通の故障と見分けがつかないため、侵入ルートを特定して対策することは困難です。
そのため、雷の発生によって必ず起こりうる被害として心構えをし、別の対策を講じておく必要があります。
コンセントから火花!?屋内での落雷対策とは?

屋外で落雷に見舞われるのはもちろん恐ろしいですが、屋内も安全ではありません。
雷サージによる屋内の落雷被害を防ぐには、どうすればよいでしょうか?
次は、屋内での落雷対策について見ていきましょう。
屋内の落雷被害
繰り返しになりますが、落雷によって引き起こされる屋内の被害には、次のようなものがあります。
- 停電。
- 落雷電流による感電。
- 直撃による建物の破損。
- 直撃や、コンセントなどから起こる火花による火災。
- 電化製品の故障。
これらの被害は、直撃によるもの以外は、主に雷サージによって引き起こされるものです。
ここでは直撃以外の、雷サージによる間接的な落雷被害の対策についてご説明します。
注意すべきはコンセント!
屋内での落雷被害と言えば、やはり停電が代表的なものです。
停電に対する備えや対策については、こちらの記事をぜひご覧ください。
停電に備えてる?本当に便利で必要なのは何?おすすめグッズをご紹介!
ですが、現象として分かりやすい停電に比べ、見落としがちなのがコンセント周りの危険性です。
電気の通り道であるコンセントは、落雷の起きた時、高電流・高電圧の電気が家の中へ流れ込むルートとなり得、感電の被害が非常に高い箇所です。
また、コンセントにつながれた電気機器・家電は、雷サージの高圧電流に耐えきれず、破損してしまう可能性が高くもあります。

さらに、雷サージの高圧電流はコンセントから火花を発生させ、火災の原因となることさえあります。


落雷時にコンセントはどう扱う?
コンセントからの火花発生や漏電などは、普段の使い方が原因で引き起こされることもあります。
危険なコンセントの扱い方としてあげられるのは、
- ほこりや髪の毛、ホッチキスの針などの付着。
- 電源をつけたままコンセントを抜き差しすること。
- たこ足配線をつなぎ、そこへプラグを差しすぎること。
なども、コンセントに負担をかけ、火花を発生させる原因となります。
これらの点に気をつけた上で、落雷時にはどのような対策が必要でしょうか?
1.プラグを抜く
まず、落雷の予兆があった時点で、コンセントからプラグを抜いておくことが大切です。
プラグを抜く際は、絶縁グローブやゴム手袋をして作業するのが良いでしょう。
雷サージは、遠くで起こった雷が電線などを通って、家の中に流れ込んで来る現象です。
なので、ゴロゴロという音が聞こえた時点で、コンセントの扱いには十分注意するようにしましょう。
2.ブレーカーを落とす
もしもコンセントから火花が出てしまった場合には、手動でブレーカーを落とすことが肝心です。

ブレーカーは家の中の電気の流れ自体を停めるので、コンセント周りからの落雷被害を抑えることは出来ます。
それら被害拡大への対策をした上で、速やかに電気会社、工事業者へ連絡するようにしましょう。
3.日頃から雷対策グッズを用いる
コンセントの対策には、雷サージに強いタップなどを用いることも大切です。
これらのタップやたこ足配線は、雷サージの高圧電流に対応したもので、簡単に出来る雷対策になります。


また、インターネットのモデムに接続するLANケーブルへの対策グッズもあります。
このような簡単に手に入る対策グッズに加えて、業者にお願いして分電盤などに避雷器を取り付けることも出来ます。


屋外での基本的な落雷対策と備え

外出時に突然大雨と雷に見舞われた時には、どのように対策すればよいのでしょう?

買い物程度であれば避難できますが、レジャーやアウトドアに出ている時は、よい避難場所もなく不安になります。
まずは屋外で落雷に見舞われたときの対策と備えについて、見ていきましょう。
備えとして落雷の予兆を知ろう!
落雷を伴うゲリラ豪雨は、見舞われてからではよい対策も出来ません。
なるべく早く予兆を感じ取り行動することが大切です。
落雷の予兆として、次のような例が挙げられます。
- 真っ黒で巨大な雲が空を覆う。
- 雷の音が遠くに聞こえる。
- 急に風が冷たくなる。
これらは落雷を伴った大雨が降る予兆です。
また、もしも髪の毛の根元が逆立つ感じや、肌がちくちくとする感じを覚えたら、すぐそこに雷が迫っている兆候です。すぐに対策を取るようにしましょう。
真っ黒で巨大な雲には特に注意!
空を覆い尽くすような巨大な雲は、積乱雲と呼ばれます。

積乱雲は、温かい空気が地上に、冷たい空気が上空にあるような、不安定な大気の状態の時に現れる雲です。
温かい空気は上空へ上ろうとする一方、冷たい空気は下へ降りようとするため、空気の流れが激しくなります。
激しい気流の中で水滴や氷がぶつかり合い、激しい摩擦が生じます。そして、摩擦によって生じた静電気が、雷として放出されるのです。

特に、積乱雲が黒いということは、大きな水滴や氷をたくさん含んでおり、摩擦が多く生じている証拠です。

黒い巨大な積乱雲が見えた時は、大雨や落雷が近づいているサインです。すぐに避難を考えましょう。
屋外での落雷対策とは?
落雷の起きた場合、建物の中に避難することが最も重要なことです。
基本的な落雷対策については、こちらの記事もご覧ください。
落雷から身を守る!安全な場所は車の中?木の下は危険がいっぱい⁈
しかし、近くに建物がない屋外で雷に見舞われた場合、どう緊急対策すればよいでしょうか?
よい対策方法としては、
- 保護範囲外に出ないこと。
- 雷しゃがみの姿勢を取ること。
- 車があればそこに避難すること。
これらが重要なポイントです。
保護範囲とは
比較的安全な場所の目安として、「保護範囲」というものがあります。
落雷の危険性の低い保護範囲の目安は、
- 木や電柱、煙突など高いものの頂点から45℃の位置。
- 木や電柱、煙突など高いものから4m以上離れた位置。
- 木の枝や葉からも2m以上離れた位置。
となります。

画像引用:気象庁|雷から身を守るには


雷は高いところへ落ちる傾向がありますので、木や電柱などには近寄らないようにしましょう。
雷しゃがみとは
建物や車が近くにない時、雷の直撃を避ける姿勢が「雷しゃがみ」です。
しゃがむことは、姿勢を低くすることで雷の直撃を避けることにつながります。
加えて、雷しゃがみにはより落雷被害を最小限にする工夫があります。
- 頭を下にかがめる。
- 両手で耳をふさぐ。
- 足の両かかと同士を合わせる。
- つま先で立つ。
毎年、雷で命をなくされる方がいらっしゃいます。しかし、都心部に住む子どもたちは、あまり雷についての知識を持っていません。
雷からの避難は屋内に入るのが一番ですが、ない場合には電柱のてっぺんを見上げて45度の中に入り4メートル以上離れた場所に「雷しゃがみ」をします。木からは離れます。 pic.twitter.com/dIceejCmED
— 熱海(あつみ)康太 (@jetatsumi) June 21, 2019
雷しゃがみの姿勢
①頭を下にかがめる。
②両耳を塞ぐ。
③両かかとをあわせる。
④つま先で立つ。 pic.twitter.com/QkkF03uFRY— たかゆき@セロリ (@lake_stage) July 9, 2017
まず、耳を塞ぐのは、落雷の衝撃によって鼓膜が破れるのを防ぐためです。
さらに大切なポイントは、かかとを合わせることと、つま先立ちをすることです。
かかとを合わせるのは、電流が地面から足を通り体へ流れて来ても、かかとのところでUターンさせて地面へ流し返すためです。
感電した時最も危険なのは、電流が心臓を通ることです。かかとを合わせるのは、その危険性を減らすために有効です。
また、つま先立ちをするのは、電流の通り道になり得る地面との接触を極力避け、体に流れる電流を最小限にするためです。
姿勢を低くするために腹ばいになるなどは、設置面積を広くし心臓にも近づけるため、かえって危険です。
体に流れる電流を最小限にするため、雷しゃがみの姿勢を取るようにしましょう。


まとめ
落雷の対策と備えについて、今回はご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?
それでは、今回の内容をまとめます!
- 落雷被害は、屋外だけでなく屋内にももたらされる。
- 屋内での落雷被害は、雷サージによって引き起こされる。
- 雷サージは、普通に使う電気に比べるともの凄く大きな高圧電流。
- 雷サージによって、感電、火花の発生、電気機器の故障などの被害が起こりうる。
- 雷サージは、電線や電話線、アースなどを通じて家の中に侵入する。
- 落雷への備えは、何よりも落雷の予兆を捉えることが大切。
- 積乱雲は、落雷の予兆としてもっとも目立つもの。
- 積乱雲は、大気の不安定さを示すサイン。
- 屋外での落雷対策のポイントは、保護範囲外に出ず、雷しゃがみの姿勢を取り、車があればそこに避難すること。
- 保護範囲は、「高いものの頂点から45℃の位置・4m以上離れた位置・木の枝や葉からも2m以上離れた位置」
- 落雷被害を抑える雷しゃがみは、「頭を下にかがめ、両手で耳をふさぎ、足の両かかとを合わせ、つま先で立つ」姿勢。
- 屋内での落雷被害で注意すべきはコンセント。
- コンセントを通じて侵入した雷サージによって、「感電、電気機器の故障、火花」などの被害がもたらされる。
- 雷が発生した時、プラグを抜くことが第一の対策方法。
- もしもコンセントから火花が発生した場合、ブレーカーを落とすことが肝要。
- 日頃から雷対策になるタップやたこ足配線を用いて対策することも重要。
いくつになっても慣れない雷。音だけならまだしも、実際に被害がもたらされるとなれば、対策は必須です。
ぜひ今日ご紹介した内容を活かして、この夏のゲリラ豪雨も乗り切ってください!
