「ご多用の折」の意味を詳しく紹介。使い方の違いを具体例で学ぼう!

[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/nigaoemaker-2.png” name=”夫” type=”r”]ただいま~。今日は参ったよ。案内状の下書きを部長に添削されちゃった。[/voice]

[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]ふ~ん。何がいけなかったの?[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”]祝い事の案内状だから、「ご多忙」じゃなくて「ご多用」だろう、だってさ。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]あら、部長さん、細かいところ気にするんだねぇ。[/voice]

[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/nigaoemaker-2.png” name=”夫” type=”r”]そうだよなぁ。でも「忌み言葉」だからって。[/voice]

手紙やはがきを書くときに、気を付けたい用語ってありますよね。

特にビジネスでは、仕事上の相手に失礼のないよう、細心の注意を払います。

でも、意味がほぼ一緒だと、どう使い分ければいいのか分からないことも。

今回は、「ご多用の折」の意味や使い方をご紹介。

意味のよく似た用語との使い分けを、具体例でみてみましょう。

ビジネス文章だけでなく、普段のお手紙にも役立ちますよ。

 

「ご多用の折」の意味は?

「多用」とは、

①やるべき事が多く忙しいこと。多忙 ②多く用いること。

引用:「大辞林 第三版」三省堂 2006年

手紙で使われる場合は、「①やるべき事が多く忙しいこと。多忙」の意味になります。

また、「~の折」は、時節や季節のこと。

手紙では、時候の挨拶などによく使われます。

[aside type=”boader”]

「早春の折」「初冬の折」「寒さ厳しき折」「残暑厳しき折」

[/aside]

つまり、「ご多用の折」とは、“やるべき事が多くて忙しいとき”という意味になります。

ただし、使われている漢字が「用」なので、忙しさはそれほど強調されません。

ニュアンスとしては、“公私ともに用事がたくさんあるとき”、程度の意味です。

 

似た意味を持つ用語

「ご多用の折」とよく似た意味を持つ用語があります。

それぞれ意味が少しずつ違うので、確かめておきましょう。

「ご多忙の折」

多忙とは、

非常に忙しい・こと(さま)。

引用:「大辞林 第三版」三省堂 2006年

「多用」とほぼ同義語で扱われますが、用いられている漢字が違いますね。

「忙」の漢字が表すように、“非常に忙しい”ことが強調された用語です。

そして「多忙」は忌み言葉とされています。

「忙」は、「心(立心偏)」+「亡」の字に分解できます。

亡くなる”を連想させることから、忌み言葉となっています。

特に、結婚や出産などの慶事では使わないようにしましょう。

また、病気見舞いの手紙などでも避ける方が無難です。

「ご繁忙(はんぼう)の折」

「繁忙」とは、

用事が多くて忙しい・こと(さま)。

引用:「大辞林 第三版」三省堂 2006年

こちらも同じく、ほぼ同義語で扱われる用語です。

けれども「繁」の漢字が表すように、“繁栄”“繁盛”など景気がよいことを連想させます。

ビジネスの場面では、“嬉しい忙しさ”というニュアンスを感じますね。

「ご多用」や「ご多忙」より、改まった場面で使えます。

ただし「ご多忙」と同じく、「忙」の漢字がありますので、忌み言葉になりま

使う時には、慶事は避けるようにしましょう。

[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”]へぇ~。同じ“忙しいとき”でも、細かな違いがあるね。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-6.png” name=”かな” type=”l”]そうでしょう。使う時には気を付けないとね。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性普通.png” name=”夫” type=”r”]じゃあ、どんな文面でつかえばいいのかな?[/voice]

[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/nigaoemaker.png” name=”かな” type=”l”]それが、結構いろいろなパターンがあるのよ。[/voice]

 

「ご多用の折」の使い方

実際の手紙では、どんな文面で使えるのでしょうか?

順番にみていきましょう。

前文の挨拶に使う時

時候の挨拶に続いて、相手の様子を尋ねる挨拶などに使います。

ビジネス文章の場合には、相手が個人の時に使われます。

[box class=”green_box” title=”例文”]

その1

「〇〇様にはご多用の折と存じます。」

その2

「皆様におかれましては、ご多用のことと拝察申し上げます。」

[/box]

この文面の後に、自分の様子を付け加えることもあります。

「おかげさまで、こちらも~~です。」

とつなげて、本文に入ります。

末文の挨拶に使う時

前文とは異なり、本文の後で相手の状況を気遣う挨拶として使います。

[box class=”green_box” title=”例文”]

その1

「ご多用の折、皆様もお健やかにお過ごしください。」

その2

「ご多用のなか、皆様のご健勝を心からお祈り申し上げます。」

その3

「時節柄、ご多用のところ、ご自愛のほどお祈り申し上げます。」

[/box]

このように「忙しい」時期なので、体調を崩さないようにという気遣う文章で使います。

この場合、「ご繁忙」の方がふさわしいこともあります。

相手の繁盛を願う気持ちも込められ、より丁寧な言葉になります。

この後に「末筆ながら~」「最後になりましたが~」と文章を付け加える場合もあります。

催し事への出席や仕事の依頼をする時

相手に何か頼みごとや参加をお願いする時にも、よく使われます。

[box class=”green_box” title=”例文 その1”]

催しや会合への出席をお願いする時

「ご多用の折、恐縮ですが、何とぞご来臨賜りたくお願い申し上げます。」

さらに丁寧にすると、

「ご多用の折、誠に恐縮ですが、ぜひともご来臨の栄を賜りたくお願い申し上げます。」[/box] [box class=”green_box” title=”例文 その2”]

会合の出欠確認などの返事をお願いする時

「ご多用の折、誠に恐れ入りますが、ご返答をお待ち申し上げております。」

「ご多用の折、大変お手数ですが、左記までご一報頂きたくお願いいたします。」[/box] [box class=”green_box” title=”例文 その3”]

仕事の依頼や面会の依頼をする時

「ご多用の折、誠に恐縮ですが、ぜひとも〇〇の案件をお願いいたしたく、ご考慮頂ければ幸いです。」

「ご多用のところ、恐れ入りますが、ご都合はいかがでしょうか。」[/box] [box class=”green_box” title=”例文 その4”]

仕事の依頼をしたが、締め切りを過ぎてしまい、催促する場合

「ご多用の折、こちらの都合を申し上げ恐縮ですが、何とぞご配慮頂きますようお願いいたします。」

さらに強く催促する場合

「ご多用の中、ご依頼しましたことで恐縮ですが、お約束ですので、何卒ご配慮頂きたく、重ねてお願い申し上げます。」[/box]

例文その4の場合は、「ご多用」よりも「ご多忙」の方がふさわしい場面もあります。

先に紹介したように、「ご多用」は、用事が多いという状況だけを表現しています。

しかし、「ご多忙」は、用事が多いことで、結果として「忙しくて大変」という心情を表現しています。

相手の忙しさを承知していることをアピールしたうえで、“それでもお願いします”と述べるわけです。

相手の立場を思いやった上での催促であれば、“お互い様”という気持ちで対応できるでしょう。

依頼した会合や仕事などのお礼をする時

お礼なので、本文のすぐ初めに使うようにしましょう。

感謝の気持ちが、より強く伝わります。

[box class=”green_box” title=”例文”]

その1

「先日はご多用の折、ご来臨いただきありがとうございました。」

その2

「ご多用のところ、わざわざ遠方よりご光臨賜り、誠にありがとうございました。」

その3

「先日は、ご多用のなかご光来賜り、丁重なるご祝辞まで頂きまして、誠にありがとうございました。」

その4

「ご多用の折、丁重におもてなし頂き、誠にありがとうございました。」[/box] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性うれしい.png” name=”夫” type=”r”]すごいね!こんなに使いどころがあるんだね。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”l”]でしょう。前文・本文・末文のどこでも使えるんだよ。まぁ内容次第だけどね。[/voice]




気をつけたい手紙用語の使い方

手紙の作法のなかでは、決まり事に沿って書くことが多いですね。

時候の挨拶に代表されるように、決まった単語を順序良く並べて、出来上がり。

でも、読み直しながら「あれ?」って思うことありませんか?

いくら決まり事があると言っても、手紙を書く状況は、それぞれ違います。

場面に応じた言葉を選ばないと、失礼に当たることもあります。

謙譲語・尊敬語の使い分けをする

謙譲語は、自分の動作・人・物を下位に見立てて、へりくだることで相手を持ち上げ敬う言葉

自分の他に、家族や所属する会社や組織も含まれます。

尊敬語も同じく、相手の動作・人・物を上位に見立てることで、相手を敬う言葉

こちらも同じく、相手の家族や所属する会社・組織も含めます。

同じ言葉を何度も繰り返さない

同じ言葉を繰り返さないようにするには、声に出して読み返すのが一番効果的です。

「ご返答を頂戴いたしたく、お願いいたします。」

「貴社へご報告申し上げたく、お願い申し上げます。」

厳寒の候、……。寒さ厳しい頃ですが、…。」

猛暑の候、……。暑さ厳しい頃ですが、…。」

特に、パソコンなどで打ち込んでいると、繰り返してしまいがちです。

読み返すと、音声として認識することで、間違いに気づきやすくなりますよ。

場面に応じて、忌み言葉を避ける

忌み言葉もうっかりミスが発生しやすい用語です。

代表的なものを挙げてみました。

参考にしてください。

祝い事の時に避けたい言葉

[box class=”yellow_box” title=”一般的な祝い事の時”]

滅びる・乱れる・乏しい・破れる・貧しい・いたましい・憂い・嘆き・苦しい[/box] [box class=”yellow_box” title=”開業・開店など”]

倒れる・崩れる・つぶれる・枯れる・傾く・閉じる・入らない・壊れる[/box] [box class=”yellow_box” title=”新築・落成など”]

燃える・焼ける・火・赤・煙[/box] [box class=”yellow_box” title=”結婚・婚約など”]

別れる・離れる・切れる・去る・飽きる・破れる・冷える・帰る・終わる・思い切って・戻る・折り返し・別便にて・浅い・薄い[/box]

お見舞いやお悔やみなどの時に避けたい言葉

[box class=”glay_box” title=”病気見舞いや災害見舞いなど”]

倒れる・へこたれる・死ぬ・枯れる・衰える・朽ちる・弱る・まいる[/box]

結婚やお悔やみの両方で避けたい言葉

[box class=”glay_box” title=”再婚や再度を連想させる用語”]

いよいよ・またまた・しばしば・ますます・たびたび・重ねて・かえすがえす・くれぐれも・かさねがさね・再び・再度・再三[/box]

結婚式で「ますますのご繁栄を…。」

お悔やみで「くれぐれもお力落しのないよう…。」

うっかり使ってしまいそうですが、気をつけたいですね。

今回取り上げた、「ご多用の折」は、忌み言葉ではありません。

結婚式やお見舞いの手紙に使えるので、活用していきましょう。

[voice icon=”https://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/nigaoemaker-2.png” name=”夫” type=”r”]難しいなぁ~。なんだか頭がこんがらがってきたよ。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-9.png” name=”かな” type=”l”]そうだね。でもあんまり気にしすぎて、伝えたいことが書けなくても困るよね。[/voice]

 

文豪に学ぶ手紙の作法

文章のことで困ったら、プロに聞いてみましょう。

文豪”と呼ばれる作家から、手紙の書き方を教えてもらえますよ。

菊池寛「手紙の心得」

  • 思った通りに素直に書け。
  • 余り自分について語るな。
  • 時候の挨拶などは、紋切型になることを避け、自分の感じ、感興を二言三言書いた方が風情がある。
  • 字はくずさぬほうがいい、あまりくずすと相手は読めない。
  • 相手に対する敬語は、くどくなると却っておかしい。
  • 出すべき所へ手紙を出さぬのは、まずい手紙よりずっといけない。
  • 一番よいのは、文章もうまく、誠心のある手紙。次は文章は下手でも誠心の十分あるもの。次が文章はうまいが誠心の疑われる義理だけの手紙。

(「誠心」はまごころのこと)

引用:「手紙・はがき・書き方辞典」中川越著 講談社 2002

なんだか、手紙を書くハードルが低くなった気がしませんか?

自分の気持ちや感じを、素直に真心こめて手紙にするのが一番ということですね。

詳しい解説や、実際に文豪がしたためた手紙を知りたい時は、こんな本がおすすめです。

まとめ

「ご多用の折」の意味や使い方を、具体例と一緒にご紹介しました。

[box class=”pink_box” title=”「ご多用の折」の意味”]

「公私ともに用事が多く、忙しい時」[/box] [box class=”pink_box” title=”手紙で使う時”]

  • 前文で、相手の様子を尋ねる挨拶
  • 相手に頼みごとや催促をする時
  • 相手にお礼を述べる時
  • 末文で、相手の体調を気遣う挨拶[/box]
[box class=”pink_box” title=”気をつけたい手紙用語”]

「多忙」が忌み言葉になるので、「多用」と言い換えることができる[/box]

日本語って、難しいと思います。

ひらがな、カタカナ、漢字、尊敬語、謙譲語、丁寧語、忌み言葉…。

季節に合わせた書き出しも、相手に合わせた言葉選びも大変。

でも、気持ちがこもった手紙には、読んだ人を元気にする力があります。

https://www.instagram.com/p/B1-MWqEpxv5/?utm_source=ig_web_copy_link

形式にとらわれず、のびのびと書けば、手紙はそれだけで贈り物ですね。

[voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性うれしい.png” name=”夫” type=”r”]うん!なんだか、うまく書けそうな気がしてきた![/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-7.png” name=”かな” type=”l”]良かった! 頑張ってね。[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/30代男性うれしい.png” name=”夫” type=”r”]さっきの例文使って、案内状が完成したよ♪[/voice] [voice icon=”http://yosiaa.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/nigaoemaker-9.png” name=”かな” type=”l”]えっ、あれでいいの?(また部長さんに怒られなきゃいいけど…。)[/voice]

参考文献:「手紙・はがき・書き方辞典」中川越著 講談社 2002 「ビジネスお礼状・挨拶状文例事典」小学館編 小学館 2004

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