





棚の奥から出てきたのは、ずいぶん前に買ったドリップコーヒーの余りもの。色合いを見てもわからないけど、なんだかすえた臭いがするような……。
パパは結局そのコーヒーを飲んでしまったわけですが、気になった私はさっそく調べはじめました。
コーヒーって腐るの?どうやって見分けるの?
調べたことをまとめます!


コーヒーが腐るってどういうこと?原因は?

コーヒーが腐るといわれても、あまりピンとは来ませんよね。
我が家では、すでに挽いてあるコーヒー豆をドリップして飲んでいるのですが、見た目には黒い粉だし、毎日飲んでいると味の変化もなかなかわかりません。
そもそも飲み物が腐るなんてことあるの……?
そこでまずは、腐るとはどういうことなのか、原因は何なのかについて調べてみました。
腐るってどういうこと?酸化と腐敗について

食べ物が傷んで食べられなくなってしまった、という経験は誰しも一度は持っているはず……。
ところで、痛んでしまったという判断を、みなさんはどうやってつけているでしょうか?


基準は人それぞれ、いろいろあるとは思いますが、多くの人はまず見た目で判断をつけるのではないでしょうか。
たとえば、切った後のリンゴやキャベツなどは、時間が経つと色あせてしまいますよね。そうなると、食べられなくはないけど、おいしさは失われてしまいます。
切った後の野菜や果物の色が変わる原因は、ほとんどが酸化と呼ばれる現象にあります。酸化とは、空気中の酸素と触れることで物質が変質する現象のことです。
酸化によって生鮮食品は本来の色合いや風味を損なってしまい、新鮮さをなくしてしまいます。

一方腐敗、つまり「腐る」ということは、微生物が原因で物質が変化する現象のことです。
細菌などの微生物は、空気中を漂っていたり、ものや人間の体に付着しています。これが食べ物に付着すると、そこでどんどん繁殖して食べ物の性質を変えてしまうのです。
微生物は高温多湿を好み、その環境下で繁殖を活発化させます。この繁殖の過程で有害な物質を生み出して、食中毒などの健康被害を引き起こしてしまう「腐った」状態になるのです。

いわゆる「傷んだ」状態とは、酸化の状態も腐敗の状態もさしますが、食中毒などの大きな被害を引き起こすのは、酸化した食品よりも腐敗した食品です。

まとめると、
- 酸化:空気に触れることで食べ物・飲み物が傷む現象。
- 腐敗:微生物によって食べ物・飲み物が傷む現象。
となります。
コーヒーは腐る?それとも酸化する?
それではコーヒーはいったい腐るのでしょうか。それとも酸化するのでしょうか。
結論から言うと、コーヒー豆やそれを挽いた粉などは基本的に腐りません。焙煎する際に高温にさらし水分を飛ばす上、コーヒー豆自体も菌の繁殖しにくい弱酸性の環境であるからです。
しかし、酸化によって風味が落ちることはあります。焙煎したコーヒー豆からにじみ出す油分が酸化することで、味わいが落ちてしまうのです。
コーヒー豆の酸化は主に、
- 水分
- 酸素(=空気)
- 高温
- 光
- 湿度
これらの原因によって引き起こされ、促進されます。
酸化した豆を使って入れたコーヒーは、舌がピリピリするような酸っぱい味がします。


コーヒー本来の酸味は、柑橘系の果物のような爽やかな酸味です。コーヒーの酸っぱさが苦手……という人は、もしかすると酸化の進んだ豆を使ったコーヒーを飲んでいたのかもしれませんね。
コーヒーの酸化は、豆の状態よりも粉の状態の方が進みがはやくなります。豆の状態よりも粉の状態の方が空気に触れる面積が大きく、それだけ酸化が早まってしまうからです。
こんなケースは要注意!コーヒーが腐るとすれば………

まず腐らないコーヒーですが、次に挙げるような場合は、腐らせてしまう可能性があります。
- コーヒーの豆や粉をすくうスプーンに雑菌が付着していた場合。
- ペットボトルや缶で飲む場合。
一つ目の場合、原因はスプーンが水でぬれていたり、唾液が付着していたりするためです。唾液の中に含まれている雑菌がコーヒーに移り、水分を吸って繁殖してしまうのです。
特にドリップコーヒーやインスタントコーヒーで、このような原因でカビが生えてしまうことがあります。コーヒーを扱うときは、乾いたスプーンを使うようにしましょう。


缶やペットボトルのコーヒーも、唾液に含まれている雑菌によって腐らせてしまいます。
とりわけ危険なのは、ミルクの入ったコーヒー飲料です。牛乳に含まれているタンパク質を栄養として、雑菌の繁殖が早まり、腐らせてしまう可能性が非常に高いのです。
腐ったコーヒーはすえたような味がしますが、見た目には判断がつきにくいものです。知らずに飲んでしまい、食中毒に見舞われることのないよう、缶やペットボトルのコーヒーは開封したら一日以内に飲みきるようにしましょう。

傷んだコーヒーの見分け方

ここまではコーヒーが腐るとはどういうことなのか解説してきました。
それでは実際に腐ったり傷んだりしたコーヒーを、どうやって見分ければよいのでしょうか?
豆やインスタントコーヒー、ペットボトル飲料などの種類別に紹介していきます!
傷んだ豆の見分け方
普通わたしたちがコーヒー豆と呼んでいるものは、コーヒーの木の種子を焙煎したものです。焙煎する前の種子は、生豆と呼ばれています。
天然自然に育った生豆の中には、虫食いやカビの生えているものが混じっています。この傷んだ生豆をより分ける作業を、ハンドピックといいます。

引用:ぱんだコーヒー焙煎所

ハンドピックはなかなか素人には難しい作業ですが、もしやってみたい方は、生豆を買って自分で焙煎するのもいいかもしれません。
自家焙煎するためのロースターも市販されています。
そこまでこだわらないなあ……という方であれば、信頼できるコーヒー専門店で焙煎された豆を買うのがもっとも安心な方法です。特に自家焙煎を行っているお店がおすすめです。

さて、豆を買った後は、鮮度に気をつけなくてはなりません。買ってから日を経るにつれて、コーヒー豆は風味をなくして行きます。
コーヒー豆の鮮度はどのように見分ければいいのでしょうか?
一つ簡単な方法として、豆を挽いた粉にお湯を注いだときの膨らみ具合を見る、ということがあげられます。
焙煎したコーヒー豆は、中にスポンジのような空洞をたくさん作ります。その空洞の中には、コーヒー独特の香りを立たせるガスが詰まっています。

お湯を注ぐと粉が膨らむのは、スポンジ状の空洞が水分を吸い、中にたまっていたガスが放出されるからです。
豆が古くなればなるほど、中のガスは自然に放出されて、風味が落ちてしまいます。そのため、お湯を注いで膨らみ具合を見るのは、豆の鮮度を確かめるためのお手軽な方法なのです。

深煎りのコーヒーの場合、空洞がたくさんできるのでこの見分け方は有効ですが、浅煎りの場合、空洞が少なく膨らみにくいという特徴があります。
そのため、もし膨らみ具合で判断がつかない場合、頼りになるのは味と香りです。
買った直後の豆には、ふんわりと口に広がる香りと果実のような爽やかな酸味があります。これが不快な渋みや鋭い酸味になると、傷んで来たことの判断がつきます。
また、香りは粉の状態で判断するのがよいでしょう。油臭さやツンとした酸っぱい臭いがすれば、大分痛んで来たことがわかります。



焙煎後のコーヒー豆の味や香りの変化については、下記の表も参考にしてみてください。
焙煎後の経過による、味・香りの変化 焙煎後日数 冷凍・冷蔵保存の場合 室内常温保存の場合 焙煎 当日 鋭い味でさほど美味しくない 鋭い味でさほど美味しくない 1~2日後 ほのかな香りと強い味 強い香りとまろやかな味 3~4日後 強い香りとまろやかな味 やや弱い香りとまろやかな味 5~7日後 やや弱い香りとまろやかな味 夏季は粉の場合、香味は薄い 約10日後 弱い香りと柔らかい味 夏季は味・香りが濁る 約20日後 香り少なく、味も薄くなる 冬季でも香味、少なくなる 約30日後 粉の場合、このあたりまで 約50日後 豆の場合、このあたりまで
引用:コーヒー豆の豆工房
表を見てみると、豆と粉では、風味がなくなってしまうまでの期間が違っています。これは挽いた粉の場合、表面積が増えて酸化のスピードが早まるためです。
挽いたコーヒー粉は、豆よりも早く傷むことを覚えておきましょう。
傷んだインスタントコーヒーの見分け方
インスタントコーヒーの傷みについては、よくいわれていることがあります。それは、
- 白い粉のようなものが浮いている。
- 黒く固まってしまう。
- お湯を注ぐと油が浮く。
などの特徴です。
これらの特徴は、本当にコーヒーが傷んでいることを知らせているのでしょうか?

まず、白い粉のようなものは、カビではなくカフェインが結晶化して粉の表面に浮き出たものです。
飲んでも体に害はなく、ビンを振ってさらさらした粉状に戻れば問題なくおいしく飲むことができます。


次に、黒く固まってしまうのは、粉が湿気を吸ってしまったためです。
これもビンを振ってさらさらした状態に戻れば問題ありません。ただし、完全に固まっている場合は、風味がかなり落ちてしまっているので、飲まない方が無難でしょう。

最後に、油が浮くのは、もともとコーヒー豆に含まれている油分です。これも飲んでも害はありません。
インスタントコーヒーの場合、本当に気をつけるべきは、水分と雑菌によるカビであるといえるでしょう。

参考:UCCお客様窓口
傷んだ缶・ペットボトルコーヒーの見分け方
単に風味が落ちるだけでなく、腐ってしまうという点については、缶やペットボトル飲料が一番危険です。
なぜなら、唾液に含まれる雑菌が口をつけて飲む際コーヒーに移ってしまい、水分を栄養として中で繁殖する可能性が高いからです。
腐ったコーヒーの特徴としては、
- 白いカビのようなものが浮いている。
- 酸っぱい臭い、味がする。
よく夏の暑い日に、車にペットボトルを放置すると、すえたような臭いを発することがありますよね。あれがまさしく腐った飲み物の臭いです。
腐ったコーヒーを飲んでしまうと、食中毒を起こして吐き気をもよおしたり、おなかを壊してしまうなどの健康被害を引き起こしてしまいます。

ペットボトルなどの容器に入れたコーヒーは、コップに注いだり、冷蔵庫で保存するようにして、なるべくはやく飲みきるようにしましょう。
腐らせないために……おすすめの保存方法紹介!

ここまで傷んだコーヒーの特徴をお伝えしてきました。



コーヒー豆の保存方法
まずはコーヒー豆からです。生豆の場合と焙煎後の豆の場合をまとめてみました。
- 風の通る袋(麻袋など)に入れる。
- 直射日光の当たらない涼しい場所においておく(吊すとなおよい)。
- 保存容器に入れて密閉すること。その上で、
- 焙煎後二週間以内に飲む場合:常温保存
- 焙煎後一ヶ月以内に飲む場合:冷蔵庫保存
- 焙煎後それ以上保存する場合:冷凍庫保存

保存方法が違うのは、生豆では豆にカビを生やさないこと、焙煎後の豆では酸化を遅らせることが大切だからです。


冷凍保存は長持ちするけどリスクあり
上のまとめを見ると、長持ちするならとりあえず冷凍しておけばいいんじゃないの?と思われるかもしれません。
しかし、冷凍保存には冷凍焼けというリスクがあります。
コーヒー豆にはわずかながら水分が含まれています。その水分が冷凍庫に入れることで凍り付き、そこから昇華という現象を起こして水蒸気となり、水分が抜けてしまうのです。
そして、コーヒー豆の水分が抜けた隙間の部分に空気が入り込んでしまうと、酸化が進み、傷んでしまうのです。

そのため、冷凍保存する場合は、どうしても一ヶ月の間に使い切れない場合の、最後の手段と考えるのがよいでしょう。
冷凍した豆を使う時は、結露によって水滴がついて酸化するのを防ぐために、必要な分だけ取り出すとよいです。取り出した豆は、そのまま砕いて使えます。

おすすめは冷蔵保存!
冷蔵保存は、コーヒー豆の酸化を進める原因を完璧に防ぐため、おすすめです。
コーヒー豆の酸化の原因は、
- 水分
- 酸素(=空気)
- 高温
- 光
- 湿度
でした。
密閉した容器に入れて冷蔵保存する方法は、これらの酸化の原因を防ぐため、非常に有効なものです。
冷蔵保存する際に気をつけるべきことは、なるべく奥の方にしまっておくという点です。
冷蔵庫は毎日頻繁に開け閉めするものですから、扉の近くに置いておくと、温度の変化によって結露してしまい、水分によって酸化を早めてしまいかねないからです。
この点に気をつければ、冷蔵保存はコーヒー豆にとって最適だといえます。
できればしたい常温保存
すぐに使い切るのであれば、常温での保存が一番です。
冷蔵庫や冷凍庫での保存は、確かに日持ちはするのですが、庫内と外との温度の差によって結露ができ、余計な水分を吸ってしまう可能性がどうしてもあるからです。

日持ちする期間は二週間程度です。それ以上保存する場合は、冷蔵庫に入れておくのがいいでしょう。
コーヒー粉の場合はどうすれば?


コーヒー粉は、コーヒー豆を砕いたものですので、保存方法は同じです。しかし、表面積が大きくなることによって酸化のスピードは早まるので、豆よりも日持ちはしないことを覚えておきましょう。

おすすめ保存用具
コーヒー豆を保存するには、とにかく酸化させないことが重要です。
酸化させないために重要な要素は、密閉性はもちろんのこと、ほかには、
- 空気を通しにくい材質であること。
- 光を通しにくい材質であること。
があげられます。
これらの条件を踏まえた上で、おすすめなのはアルミバッグです。
アルミバッグはジッパー等の保存袋よりも空気を通しにくく、光を遮るため、酸化を防ぐのに最適です。

また、遮光性のビンでの保存もおすすめです。とりわけ常温で保存してすぐに使い切る場合には、スペースも取らず使い勝手のいいビンを利用するのがよいでしょう。

これらの容器を使った上で、さらに余計な空気を入れぬよう、小分けにして保存するようにすれば、コーヒー豆の劣化を完璧に防ぐことができます。
ぜひみなさん試してみてください!
インスタントコーヒーの保存方法。
インスタントコーヒーの酸化を防ぐには、どう保存すればよいのでしょうか?
ビン詰めのインスタントコーヒーの場合、大切なことは、ビンの口に貼られている紙のふちを剥がさないようにすることです。
ビンの口に貼られている紙は、ふたとの密着度を高め、湿気が入るのを防ぐ役割を持っています。
そのため、とりわけ外気に触れやすいふちの部分の紙は、ふたとの間に隙間を作らないよう残しておくのがよいのです。


袋詰めの場合は、空気を抜いて密閉状態にするようにします。一番よい方法は、アルミバッグのような密閉容器に入れ替えることです。さらに使う分だけ小分けにすれば完璧です。
インスタントコーヒーは、基本的に常温保存するようにしましょう。豆と違って溶けてしまうインスタントコーヒーは、冷蔵庫や冷凍庫で保存すると、出し入れの際に結露を吸うことで、湿気たりカビやすくなってしまうおそれがあります。

インスタントコーヒーの日持ちの目安は、開封後一ヶ月程度です。飲みきるのにそれ以上かかるならば、冷蔵庫での保存を考えてもよいでしょう。
ところで、インスタントコーヒーの粉をすくう時にはスプーンが不可欠です。おすすめのスプーンがあるので、紹介しておきます。
スプーン自体が乾燥剤になっているので、保存容器の中に入れっぱなしにしておけば、日持ちすること間違いなしです!
缶やペットボトルのコーヒーの保存方法
缶やペットボトルのコーヒーは雑菌が繁殖して腐りやすいことは先にお伝えした通りです。
気をつけることは、
- 開封後はあたたかい場所に放置しておかないこと。
- 開封後は速やかに飲みきってしまうこと。冷蔵庫で保存する場合も一日・二日で飲みきってしまうのがベスト。
特に、ミルク入りのコーヒー飲料は、雑菌が繁殖しやすいので要注意です。
ちなみに、未開封のコーヒー飲料は、無菌の状態なので、どのような保存方法でもかまいません。ですが、夏の車内のような暑すぎるところに放置しておくと、風味が落ちることもあるので、なるべく常温か冷蔵で保存するとよいでしょう。
缶やペットボトルのコーヒーは、基本的に注意書きが書かれていますので、それを守っておけば安心です。
くれぐれも腐ったコーヒーにはお気をつけください!
まとめ
いかがだったでしょうか?それでは、今回紹介した内容をまとめます。
- 「腐る」と「酸化」は別もの!
- 酸化の原因は空気中の酸素とふれあうこと。高温や光、湿度、水分によって早まる。
- 腐るのは、微生物が繁殖するために引き起こされる。
- コーヒーは基本的に腐らない!しかし、水分や唾液によって雑菌が入ったものは要注意。
- コーヒー豆の鮮度は、お湯を注いだ時の膨らみ具合を見る。
- インスタントコーヒーは、カビが生えないよう水分や唾液に気をつける。
- 缶やペットボトルのコーヒーは、腐らせないよう、開封後速やかに飲む。
- コーヒー豆は、生豆と焙煎後の豆とで保存方法が違う。
- 焙煎後の豆は、どれくらいの期間で飲みきるかによって、保存方法を変える。
- インスタントコーヒーは、ビンの口の紙をふちだけ残して剥がすようにする。
傷みが目で確認しにくいため、長く保存できると思われがちなコーヒーですが、基本的に生鮮食品です。
傷ませないよう、適切な保存を心がけ、おいしいコーヒーのある暮らしを楽しみましょう!