慌ただしく過ぎていく年の瀬。
子供からこんな質問をされたら、ちょっと手を休めて答えてあげましょう。
心の準備が整って、良い年を迎えられるかもしれません。
今回は、年越しそばの由来をご紹介。
縁起かつぎの理由によって、呼び方まで変わります。
お住まいの地域では、どんなそばで、どんな呼び方をしているでしょうか?
ちょっと調べてみましたよ。
なぜ、大晦日にそばを食べるの?~呼び方の違い①~
諸説ありますが、縁起かつぎで食べられるようになった説が有力です。
由来その1「世直しそば」
博多の商人・謝国名(しゃこくめい)が、大晦日にそば餅をふるまったことが由来。
鎌倉時代、博多には貧しさのため満足に食べることも出来ず、幸せに年を越せない人々が多くいました。
謝国名は、そんな貧しい人たちに、大晦日に承天寺で「世直しそば」として、そば餅をふるまいました。
その後、そば餅を食べた人たちが、運に恵まれて幸せになったと噂が広まりました。
以来、大晦日にそばを食べて、運や福にあずかろうとするようになったという説です。
[box class=”green_box” title=”この由来から生じた呼び方”]- 「運そば」
- 「運気そば」
- 「福そば」[/box]
由来その2「三十日(みそか)そば」
江戸時代の中頃、元禄時代に関東の三大長者と言われた商家で、月末にふるまわれたそばが由来。
江戸時代の中頃、商家の家では、月末の30日にそばを食べる習慣がありました。
これを「三十日(みそか)そば」または「晦日(みそか)そば」といいました。
月末で忙しい奉公人たちへ、すぐに食べられるそばをふるまい、もうひと頑張りする景気づけにしたといわれています。
これが、その年の最後の「晦日」=「大晦日」にも「福そば」として行われました。
その三大長者にあやかろうと真似をして風習となったという説です。
[box class=”green_box” title=”この由来から生じた呼び方”]- 「晦日そば」
- 「大晦日そば」
- 「福そば」[/box]
いずれの由来も、運や福にあずかろうという気持ちから風習になっていきました。
新しい年が良いものになるようにという思いは、現代より強かったのかもしれません。
[box class=”glay_box” title=”そばはいつから食べられているの?”]そばという穀物が中国から伝来したのは、奈良時代。その頃は、農民が飢饉のときに食べる雑穀でした。
麺にする製法がなく、粉を水で溶いて焼いたり蒸したりしたものが一般的。
味も良いものではなかったようです。
その後、小麦粉などをつなぎにして麺にする方法が考案され、「そば切り」という現在のそばの形ができました。
江戸時代中頃になると、醤油が開発されました。
この醤油を出汁と合わせるつゆが生まれたことで、そばは一気に人気を博しました。
元禄時代には、屋台が大繁盛し、年越しそばも定着していったのです。[/box]
なぜ、そばを食べると縁起がいいの?~呼び方の違いの理由②~
では、そばがなぜ縁起が良いと言われるのでしょうか?
なぜうどんやスバゲッティではいけないのか?
その理由は、いくつもあります。
では、ひとつずつご紹介していきましょう。
災いや厄を切る・悪い縁を切る
そばの粉には、グルテンという粘りを生み出す成分が含まれていません。
そのため、とても切れやすい麺になります。
そこから、“切れやすい”=“今年の災いや悪い縁を断ち切る”という縁起かつぎになりました。
[box class=”green_box” title=”この縁起かつぎから生じた呼び方”]- 「縁切りそば」
- 「年切りそば」[/box]
長寿・家族の縁が長く続く
そばは、細く長い麺です。
このことから、“細く長く続く”=“命が長く続く、良い縁が長く続く”という縁起かつぎになりました。
ちなみに“家族の縁”と限定されているのは、“そば”にいる人の縁、とかけているからです。
金運が良くなる
江戸時代、元禄の頃、関東三大長者の1人、東金茂右衛門家がありました。
東金家は、金銀の細工師で財を成した家です。
金銀の細工で出た極小の粉を、そば団子にくっつけて集めていました。
先に述べたように、そば粉にはグルテンがありません。
水につけるとすぐに溶けて、金銀の粉と分離したので、集めるのに便利だったのです。
このことから、“金銀をくっつける”=“金運がつく”という縁起が生まれました。
東金家の長者にあやかって、という意味もあるようです。
健康で長生きができる
そばは、栄養の少ない土地でもしっかりと育ち、風雨の後でも晴れれば、元気に枝葉を伸ばす丈夫な穀物。
そこで、“丈夫な穀物”=“健康に恵まれる”という縁起かつぎとなりました。
また、古くから、そばは五臓六腑(内臓のこと)の毒素をとる、と信じられていました。
このことからも、健康で長生きできるという縁起が生まれました。
[box class=”green_box” title=”この縁起かつぎから生じた呼び方”]- 「寿命そば」
- 「長寿そば」[/box]
参考文献:「蕎麦辞典」植原路郎著 東京堂出版 昭和47年
「47都道府県・伝統食百科」 成瀬宇平著 丸善株式会社 平成21年
参考サイト:Wikipedia「年越し蕎麦」「蕎麦」:日穀製粉公式サイト「蕎麦学入門」
地域によって、こんなに違う!日本全国の年越しそば
江戸時代に日本全国に広まっていった年越しそば。
その土地ならではの食べ方になっていきました。
どの地方でどんな食べ方になったのか?
ご紹介していきましょう。
お住まいの地域の年越しそばはどんな名前で呼ばれていますか?
出汁も鶏ガラや魚、シイタケや大豆など多種多様です。
出汁の味付けは関東が醤油の濃い味で、関西は出汁が多い薄味のものが多いですね。
全国にほぼ共通しているのが、薬味や具にねぎを散らすこと。
また、油揚げを入れる地域も多くみられました。
参考文献:日本の食生活全集50巻「日本の食事辞典Ⅱ作り方・食べ方編」
日本の食生活全集1巻~48巻 農山漁村文化協会編集 1993年
作って味わおう!各地の年越しそば
地域の年越しそばはどんな味なのか?
気になりますね。
「クックパッド」に寄せられた年越しそばのレシピから、地域の味を紹介したレシピを選んでみました。
地域ごとの味を、自宅で作ってみるのも楽しいですね。
わが家の具だくさん!年越しそば
[aside type=”boader”]材料 (4人分)生そば4人前
- 人参1本(120g)
- 里芋中6個(280g)
- 干し椎茸3~4枚
- ちくわ2本
- 鶏肉150g
- 油揚げ(正方形)2枚
刻みネギ適量
すりごま・かつお節・刻みのりお好みで
■ そばつゆ
- 干し椎茸の戻し汁+水900cc
- 麺つゆ(2倍濃縮)100cc
- 顆粒だし小さじ2
- みりん60cc
- 醤油60cc
- 料理酒大さじ1
- 砂糖大さじ1[/aside]
- 干ししいたけを水につけて戻し、油揚げは細切りにして湯通しする。(干ししいたけを戻した水はだし汁に使う。)
- 鶏肉は一口大、野菜・干ししいたけは細切り、ちくわは縦半分にして薄切りにする。
- 鍋にそばつゆの材料と②の具材を入れて、煮込む。
- 茹でたそばの上に③をたっぷりかける。お好みでねぎ・ゴマ・かつお節・のりをかけて出来上がり。
こちらは出汁をかける、かけそばです。
具がたっぷりでとてもおいしそうですね。
miito512さんのレシピ・コメント
実家のある渥美地方の郷土料理。
野菜をたっぷり使った具だくさんの煮かけそばです!
引用:COOKPAD 詳しいレシピはこちらから
我が家の?讃岐の年越しそば
[aside type=”boader”]材料 (4人前)- ゆでそば玉 or ゆでうどん玉4玉
- 大根,人参各10cmくらい
- 油揚げ半枚
- 椎茸(あれば)2枚
- 水800cc
- いりこ大10尾くらい
- (あれば)だし昆布10cm角くらい1枚
- ●顆粒だしの素(鰹風味:塩分無添加)小さじ2
- ●薄口醤油大さじ3
- ●日本酒、本みりん各大さじ2
- ●自然塩小さじ2~3
細ねぎ,かつお節適量
■ 食べるとき、お好みで エビ天やかき揚げをのせてください。 [/aside] [box class=”yellow_box” title=”作り方”]
- いりこの腹と頭をとって、昆布と一緒に水に1時間以上浸しておく。
- 具材を短冊切りにする。油揚げは油抜きしてから、短冊切りにする。
- ①を火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。いりこのみでさらに弱火で10分沸かす。その後、いりこも取り出しておく。
- ②の具材をだし汁に入れて柔らかくなるまで煮込み、●印の調味料を入れる。
- 茹でたそばを丼に盛り、④を上からかける。お好みでねぎと鰹節をかけて出来上がり。
いりこだしであっさりした味になりますね。
濃口醤油でもできますが、味がかなり変わるそうです。
うどんでも食べられるところが、讃岐らしいですね。
ぶるーぽぴーさんのレシピ・コメント
香川は,年越しにそばもうどんも食べます。
そのそばも「そば粉入り細うどん」的な太めな物。
この出汁って我が家だけ?
引用:COOKPAD 詳しいレシピはこちらから
あったか牡蠣そば 年越しそばにも♪
[aside type=”boader”]材料 (2人分)- そば200g
- 牡蠣8粒
- 片栗粉少々
- わかめ好きなだけ
- ねぎ好きなだけ
■ 《つゆの素》
- しょうゆ大さじ4
- みりん大さじ2
- 砂糖大さじ1
■ 《だし》
- かつおぶし20g
- こんぶ10g
- 水1000cc [/aside]
- だしの材料を鍋にかけて、あくを取りながら10分煮てから漉す。つゆの素は別の鍋で沸騰寸前まで火にかけて砂糖を溶かす。
- おそばを茹でて水洗いしておく。
- 牡蠣を塩水(分量外)で振り洗いし、水気を取ったら片栗粉をまぶしておく。
- だし700㏄+つゆの素をあわせて、沸騰しないように火にかけ、③の牡蠣を入れて3分ほど温める。
- そばを熱湯にくぐらせて温めて、水気を切って丼に盛る。
- そばにつゆをかけて、わかめとねぎをのせて出来上がり。
牡蠣の旨味が出ていておいしいと、つくれぽでも評判です。
かなり豪華な年越しそばになりますね。
牡蠣で味を取るそばは、長崎でも作られています。
uminoieさんのレシピ・コメント
牡蠣には片栗粉をまぶすので、火を通してもプリプリ♪
そのままでもおいしいし、つゆに浸して食べるとまたおいしい!!
引用:COOKPAD 詳しいレシピはこちらから
福井名物☆越前おろしそば☆
[aside type=”boader”]材料 (2人前)- そば(生麺でも乾麺でも)2玉(束)
- 大根1/5~1/4本
- ねぎ・かつおぶし適量
- ●めんつゆ(3倍濃縮)100cc
- ●水200cc(つけつゆの濃度に薄める分量)
- ●醤油ひとまわし~ふたまわし
- ●鰹節ひとつかみ
- ●を鍋に入れ火にかける。沸騰したら火を止め漉す。
- 大根をおろして、①のつゆに汁ごと入れ混ぜておく。
- 器に茹でた麺を盛り付け、小口切りにしたねぎをのせ、2のつゆをかける。かつお節や七味・ゴマをかけて出来上がり。
大根おろしがつゆをサッパリとした味にしてくれます。
麺つゆはつけつゆくらいの濃度だと、大根おろしの汁を入れてちょうどよい濃さになります。
かけるときに調整もできます。
oみぃクンoさんのレシピ・コメント
福井名物おろしそば。つめたいかけそばです。
大根おろしは薬味ではありません、汁に混ぜるんです。
2008.01.07 年越しそばの写真に更新しました。ニシンの甘露煮がのってます。
でも甘露煮との相性はあんまりよくなかったです…
引用:COOKPAD 詳しいレシピはこちらから
ニシンそば(簡単かけそばつゆ)
[aside type=”boader”]材料 (2人分)- そば2人分
九条ねぎ(青ねぎ)
■ ニシンの甘露煮
- ソフトニシン1本
- ○昆布出汁300cc
- ○酒大さじ2
- ○黒砂糖大さじ2
- ○みりん大さじ2
○しょうゆ大さじ2
■ かけそばのつゆ
- みりん50cc
- しょうゆ50cc
- 出汁100cc
- 黒砂糖大さじ1 [/aside]
- ニシンを流水で洗い、うろこ・ひれ・カマ・尾の先を落とし、2つ~3つに切る。
- 鍋にニシンを入れ、番茶(ほうじ茶・烏龍茶・米のとぎ汁または水)で弱火にして1時間くらい煮る。
- 煮汁を捨てて鍋を洗ったら、〇の調味料をいれて、さらに弱火で1時間煮る。
- とろりと煮詰まったら火を止めて冷まし、煮汁ごとタッパーに入れて冷蔵庫で冷やす。(温そばの場合はそのままでよい。)
- 鍋に、ひと煮立ちさせたみりん→醤油→出汁→黒砂糖の順に入れて、さらにひと煮立ちさせ火を止めて冷ましておく。(温そばの場合は、出汁を多めで冷まさずにそのままでよい。)
- 茹でたそばを器に盛り、ニシンをのせてつゆをかける。小口切りのねぎをのせて出来上がり。
ニシンの上にそばを一箸分のせるのが、京風の盛り付けです。
冷たいそばでも温かいそばでも、おいしく頂けます。
草カワセミさんのレシピ・コメント
ベタな定番にしんそばの、冷やしかけそばVer。
こってりニシンとソバがあう♪冬はあったかソバや、年越しソバにも☆
引用:COOKPAD 詳しいレシピはこちらから
どの年越しそばも、一度作ってみたくなるものばかりですね。
手打ちそばを使って、色々な年越しそばに挑戦してみませんか。
ここで、さらに挑戦をしてみたい方は、そばから作ってみませんか。
こちらのそばの打ち方を参考にどうぞ。
そば打ちの方法 おいしいそばが打てるコツ
挑戦される方は、まずこんな準備をしてはいかがでしょうか。
いいそば粉が手に入ったら、いい道具もそろえたくなるものです。
こんなセットがあったら、職人気分で本格的な手打ちそばが打てそうですね。
まとめ
年越しそばの由来と縁起のいい理由と合わせてご紹介しました。
日本各地の年越しそばと、呼び方のいろいろも合わせて、ご覧いただきました。
[box class=”green_box” title=”年越しそばの由来と別名”]- 鎌倉時代の商人が大晦日に始めた「世直しそば」を食べた人が運に恵まれたことにあやかった→「運そば」「運気そば」「福そば」
- 江戸時代の三大長者が12月の末日=大晦日に「福そば」を奉公人にふるまったことにあやかった→「大晦日そば」「晦日そば」「福そば」
- 切れやすい=その年の災厄を切る、悪い縁を切る→「縁切りそば」「年切りそば」
- 細く長い=長命、家族の縁が長く続く
- 金銀の粉をそば団子で集めた=金運がつく
- 丈夫な穀物で、内臓の毒素を取る=健康、長生き→「寿命そば」「長寿そば」[/box]
- 出汁に昆布・かつお節・鶏ガラ・しいたけ・大豆など様々な食材が使われている
- 具材や薬味も様々だが、共通してねぎ・油揚げが食べられている
- かけそばや煮そばなど食べ方もいろいろ(テキスト)[/box]
今年の災厄や悪縁を断ち切って、来年こそは良い年に。
今も昔も変わらない、その願いを一杯のおそばに込めて。
皆さま、良いお年をお迎えください。
[box class=”blue_box” title=”関連記事まとめ”]